アフリスペックの住宅診断への想い
インスペクターへの道
インスペクターを目指した理由
私がインスペクターを目指したのは10年以上前。
2007~2008年頃であったと記憶しています。
当時はインスペクションという言葉がほぼ知られていない中でした。
現在もそうですが、不動産業界と住宅建築業界の縦割り感に疑問を持っていました。
当時の私は住宅建築現場を経て建築士を取得し、不動産取引や分譲住宅の企画・営業をしていました。
家というものをお客様に近い立ち位置で見たときに、建築業界の慣習と不動産業界の慣習がズレているのに、お客様のニーズと合致する筈がない。
ならばその間に立てる人間になろうと決意したのが始まりだったのです。
住宅業界と不動産業界の経験だけでは足りなかった
そんな理由から建築と不動産の間に立ち両面からアドバイスが出来るようになろうとしましたが、似て非なるものはそれだけではありませんでした。
建設業界(ビルや公共施設、土木工事等)も全く畑違いだったのです。
それはそれで仕方ないのですが、住宅建築に足りないものが浮き彫りになりました。
住宅の施工管理の経験はほぼ通用しないなか、感じたことは住宅業界のふんわり感。
言葉が抽象的ですが、そう感じました。
ふんわり設計すれば出来てしまう。
これが住宅業界です。
間取りが描ければ家は建つ。今思えば不思議です。
もちろんそんなことはないのですが、下請け業者等にお願いすればどんどん設計や工事が進んでしまうのです。
図面という建築の言語にあたるものが不足していても、感覚で出来てしまう。
住宅建築はある程度システム化されていることにより、細かい部分の設計がされずとも建ってしまう。
ここに大きな問題を感じました。職人さん任せでどうにかなってしまっていたのです。
それが住宅業界…とも言えますが、不具合が生じているのはそういった設計がされていない細かいところにあります。
充分な安全性(安全率)が確保されているから詳細な設計がされなくても大丈夫という考えもありますが、実際にそういったところに不具合が生じています。
法律的な数値の裏付けが何なのか、詳細設計レベルで考えることにより、増改築を繰り返し、違法状態の中古住宅等についても独自の見解を出せるようになりました。これらも大きな武器になっています。ビスが不足しているからダメ…ではなく、この位置のビスが不足したら何が起きるのかを想像することが得意です。
住宅には設計されていない部分が多くある。
これが問題が生じる原因の一つ。
そう確信しています。
物を作るのが好きだった。
物を作るのが得意で、よく日曜大工をしていました。
そんな中、経験したのがマンションのセルフリノベーション、DIYです。
すべてまっさらな状態からものを作るというのは、楽しい反面、苦労もたくさんあります。
自分で作っていると、面倒な部分や難しい部分が体感できます。
そんな面倒な部分や難しい部分には不具合が多く潜んでいます。
面倒だな…を自分の感覚で体感したのはインスペクションを実施する上で最も活きている経験の一つです。
ここは手間が掛かりそうだな…という箇所については不具合が生じている確率が上がります。
『見破る力』
趣味の経験も今のインスペクションに活かされています。
住宅の購入やリフォームは人生を左右する
家の購入はその人の一生を左右する人生でも重要な出来事です。
かといって不動産価値を地域や価格だけで語ることはできません。
その人がその家がいいと思えばそれを否定しません。
情報として様々な可能性をお伝えすることが役割と思っています。
買うべきか、買わないべきかを判断するのはお客様自身。
これまではその情報が不足していた為購入判断に失敗する方が多かった。
これからはその情報収集をサポートする人が必要。
それがインスペクターの役割の一つ思います。
出来るだけその情報を噛み砕き、わかるように伝えること。
これがお客様に選んでいただけるインスペクターとなった今、大事にしていることです。
アフリスペックの診断はここが違う。
アフリスペックの診断は、粗探しではありません。
その不具合が何に起因し、どのような経過を辿る可能性があるのかを専門的な知見で推測いたします。
住宅診断は一次診断です。お医者さんで言うならば町の診療所。
全ての問題が解決するものではありません。
それでも、弊社は考え得る可能性を追求します。
可能性は様々なことを考えることができます。それは全てがあっているかは分かりません。
しかし、その可能性を想像できない診断は何回やっても一緒です。
『劣化や不具合が多いからこの建物はダメですね』
この様な診断こそダメな診断の事例だと思います。
それは誰が見てもわかること。建築のプロでなくてもそういうものは感じているはずです。
中古住宅に劣化や不具合は付き物です。
アフリスペックではその劣化や不具合とどのように上手に付き合っていくのか。
物件との対話、お客様との対話の中から最適なアドバイスを心がけています。
住宅診断専門だからできるお客様の気持ちに寄り添ったサービスです。
アフリスペックはチーム型インスペクション
建築士が物件の全てについて詳しいわけではありません。
お医者さんが様々な診療科に分かれ、専門の先生がいる様に、建築にも専門性があります。
時には宅建士であったり、施工管理技士であったり、職人さんであったり。その状況に応じて最適なアドバイザーと言うものは異なります。それを総合的にまとめられる立場が一級建築士というものです。
一級建築士だから大丈夫。この考えは少し危険かもしれません。
もちろん一級建築士は住宅診断には最低限必要な資格。
アフリスペックは様々な資格と経験を有する『住宅診断士』です。
診断事例
基礎の診断事例
基礎のクラックは多くの建物で発生しています。中古住宅の診断に於いて珍しいものではありません。
そのクラックが内部まで貫通しているものかどうかは確認すべきです。表からの位置と床下へ侵入しての位置が合っているかを確認します。
構造クラックの位置から建物の状況(どのように力が掛かっているか)の想定をすることも可能な場合があります。
床の診断事例
床に於いては6/1000の傾きが基本的な基準になります。
レーザーレベルやデジタル水平器を使って傾きを計測します。
一部分の傾きが規定値を超えていたとしても、すぐに全体構造に問題があるとは判断できません。
測定をしたものから全体を睨み、状況を推測する力が求められます。
外壁の診断事例
外壁が割れると言うことは、それなりの構造的不具合を疑う余地があります。
シーリングの劣化と外壁の亀裂は別物です。
外壁の割れ方から、構造にどのような力が働いているのかを見極め詳細の調査をすることが大切です。
地盤の沈下に起因するものなのか、そもそも上部構造(木で出来ている部分)の構造に問題があるのか。
様々な状況把握や計測を総合的に判断し、推測をします。