住宅を購入する際にはハザードマップなどで災害発生時にその場所がどうなるのかの確認を!
近年、地震や台風、津波、ゲリラ豪雨、竜巻といった自然災害のニュースをたびたび目にするようになりました。
特に2011年3月に発生した東日本大震災では、当時私が在籍していた職場の目の前で7~8階建ての鉄筋コンクリート造のビル群が左右にグラグラと大きく揺れる様子を初めて見ました。
また東京湾を埋め立てて海沿いに住宅街を造成した千葉県浦安市で広範囲に渡って液状化現象が発生したことは今でも記憶に強く残っています。
そして震災後には、私も被害を受けたいくつかの家屋の沈下修正工事に関わりました。
それ以降ニュースで各地の自然災害による被害状況を見るたびに、「地盤が弱い土地や家屋が浸水するような土地などの災害に弱い土地の購入は絶対に避けるべきだ」と改めて感じます。
これから建売住宅や中古住宅、住宅用地などを購入しようと考えている方に参考にしていただければ幸いです。
避けるべき危険な土地とは?
購入することをあまりお奨めできない土地には様々なものがありますが、中でも水害や土砂崩れ、地震などの災害リスクが高い土地は避けた方が良いでしょう。
災害リスクはどんなに建物を強固なものにしても完全に回避することはできず、大切な資産だけでなく時には人命まで失ってしまう恐れがあるからです。
土地を購入して家を建てる際には地盤調査を行い地盤が弱い場合には必要な地盤改良工事を行いますが、どんなに地盤改良をしても地盤が弱いと大きな地震発生の際には被害を受ける可能性があり、揺れが原因で火災が発生してしまうこともあります。
(関東大震災では10万人を超える犠牲者の大半が火災によるものだったといわれています)
また「土石流」「地すべり」「がけ崩れ」などの危険性が高い地域を総称して「土砂災害危険箇所」と呼ばれていますが、これらによる被害は建物を強固にすることでは避けることができません。
その他河川氾濫、津波、高潮等の浸水被害のリスクの高い土地も購入を避けるべきですが、どうしてもやむを得ない場合には、「基礎を高くする」、「1階には居室を設けない」、「建物の防水性を高める」といった対策を怠らないことが大切です。
買ってはいけない土地なのかどうかを確認する方法
購入しようとする土地がどの程度の危険度なのかを確認するもののひとつに「ハザードマップ」があります。
「ハザードマップ」とは、一般的に「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」とされています。(国土交通省 国土地理院)
ハザードマップは国や地方公共団体などが作成していますが、水害や地震、津波、土砂災害など災害の種類ごとに作成されることが多く、地震危険度ハザードマップや洪水ハザードマップ、津波ハザードマップ、土砂災害ハザードマップなどがあります。
行政によって記載内容が異なりますが、建物被害危険度として危険度が高い地域から低い地域まで危険度ごとに色分けされていることが多いので、購入したい土地の危険度を確認するのには最適です。
ハザードマップは各市町村の役場で配布していることが多いので役場の窓口に問い合わせてみるか、国土交通省が公開している「ハザードマップポータルサイト」で閲覧することができます。(https://disaportal.gsi.go.jp)
また前述したように東日本大震災の際には、千葉県浦安市をはじめとする1都6県で液状化の発生が確認されています。
液状化しやすい条件には砂地盤であることやN値が低いこと(砂が締固まっていないこと)、砂の層が地下水に満たされていることなどがありますが、総じて埋め立て地は非常に危険だといえます。
埋立地や池、沼、水田といった地盤が緩いと思われる土地は国内に数多く存在しています。
現在は住宅用地としてきれいに造成されていても、その土地が昔はどんな土地だったのかを調べる手段のひとつに古地図があります。
関東地方においてはインターネットで昔(明治初期から中期)の土地と現在の土地の利用状況を見比べることができるサイトがあり、これを見ることで昔その土地がどんな土地だったのか(水、畑、芦、等)を知ることができるので非常に便利です。
(参照:歴史的農業環境閲覧システム 比較地図 https://habs.rad.naro.go.jp/compare.html)
※尚、昔の地図上の「水」は水田だったことを、「芦」は湿地だったことを意味していて、以前は海や沼だった場所を知ることもできます。
まとめ
日本は地震や津波、そして台風や集中豪雨によって引き起こされる洪水や土砂災害などの自然災害が多い国です。
自然災害を避けるための最も有効な対策は、危険な場所には近づかないことでしょう。
したがってこれから建売住宅や中古住宅、土地探しをしようとしている方は、その場所の自然条件、地盤の性質やその生い立ちなどを良く調べた上で、どの程度のリスクがあるのかを把握した上で購入判断をすることが大切です。
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かめだの部屋 住宅診断士 亀田 融