住宅ローンの審査の基準とは? どれくらいの人が審査に落ちる?
わが国で住宅を購入する際には現金で購入できる方は少ないので、およそ8割近くの方が住宅ローンを利用しているといわれています。
しかし住宅ローンを組む際には金融機関の審査があるので、全ての人が住宅ローンを利用してマイホームを購入できるわけではありません。
万一、審査に落ちてしまったら住宅ローンを組むことができないので、マイホームの購入を断念することになってしまいます。
この住宅ローンの審査に落ちる方は意外と多く、以前私が住宅会社に勤務していた頃にも多くの方が金融機関の審査に通りませんでした。
リーマンショックの頃などと比べれば金融機関の審査基準もだいぶ緩和されているようですが、それでも1割近くの方が審査で落とされているように思われます。
では金融機関が行う住宅ローンの審査の基準にはどのようなものがあるのでしょうか。
本記事ではこれからマイホームの購入を予定している方に役立つように、住宅ローンの審査項目について詳しく紹介したいと思います。

住宅ローンの審査の基準とは?
実は住宅ローンの審査基準はどの金融機関でも明確に公開していません。
しかし住宅ローンの審査は金融機関が行うものなので、審査基準は金融機関ごとに異なっていても、基本的には次のようなものが判断材料とされているようです。
・現在の貯蓄額
・勤務先
・勤続年数
・年収
・年齢
・健康状態
・担保評価
・現在の借入額(自動車ローンなどを含む)
・クレジットカードなどの事故履歴(滞納履歴)
これらの中で特に金融機関が重視する項目について詳しく見ていきましょう。
1.年収、勤続年収
十分な収入がなければ住宅ローンの返済はできないので、年収は重要な審査項目となります。
またその収入が安定しているかどうかも非常に重要なので、勤務先や勤続年数から判断され、公務員や会社員などの給与所得者と比較して個人事業主などは厳しく審査される傾向があります。
そして一般的には正規雇用の方が安定した収入があるため審査に通りやすく、派遣社員やパート、アルバイトの方はたとえ安定した収入があったとしても審査を受けられないことがあります。
2.年齢
住宅ローンの審査では「借入時の年齢」と「完済時の年齢」について金融機関ごとに制限があり、一般的には住宅ローンの申し込みができる年齢の下限は20歳です。
また完済時の年齢は80歳未満であることを条件としている金融機関が多いので、80歳を超えると審査に通ることは難しいといわれています。
3.健康状態
住宅ローンを組む際には、ほとんどの金融機関が団体信用生命保険(団信)加入を融資条件としているため、健康状態が審査の項目となっています。
団信とは、住宅ローンの返済中にローン契約者が死亡した時などに保険金で住宅ローンが完済される保険のことで、健康状態に問題がある場合には団信に加入することができないため住宅ローンの審査に通らなくなります。
4.担保評価
金融機関はローン契約者が何らかの理由で返済不能になった場合に備えて担保の提供を求めます。
住宅ローンの場合には原則として購入する不動産(土地・建物)が担保になりますが、不動産の評価額によって審査の通りやすさが変わります。
したがって評価額が低い古い中古住宅などを購入する場合には、審査に通らないことがあります。
5.現在の借入額やクレジットカードなどの事故履歴
多数のクレジットカードを所有している場合には全てのカードの限度額を見られるので、使用していないカードは早めに解約しておきましょう。
また住宅ローンの審査の際には、車や教育資金といったその他のローンも合算して返済負担率(年収に占めるローンの利息を含めた年間返済額の割合)が計算され、返済負担率が、各金融機関が定めている割合を超えると審査に通りません。
したがって自動車ローンなど他に借り入れがある場合には、できるだけ事前に完済しておくようにしましょう。
そして金融機関の審査では、住宅ローン申し込み者の信用情報を信用情報機関に照会します。
その際に過去にクレジットカードの未払いや滞納の履歴があると、現在はその問題を解消していたとしても審査では不利になるので注意が必要です。
私の経験上ではこうした信用情報が原因で住宅ローン審査に落ちるケースが少なくありません。
したがって日頃からクレジットカードの未払いや滞納がないようにしておくことが大切です。
まとめ
住宅ローンは借入額が高額で返済も長期に渡るので、他のローンと比較して金融機関の審査も厳しくなります。
そのため審査に通らない人も決して珍しくありません。
しかし通常は審査に落ちても金融機関がその理由を教えてくれることはありません。
そして金融機関によっても審査基準が異なるので、たとえひとつの金融機関の審査に通らなかったとしても、他の金融機関では住宅ローンを組めることもあります。
また返済負担率が30%を超えると審査に落ちる可能性が高いので、返済負担率を下げた状態で再度購入物件を見直しする方法があります。
ただし無理な返済計画は絶対に禁物なので、その点には十分な注意が必要です。
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かめだの部屋 住宅診断士 亀田 融