マンションは角部屋がいいって本当? 角部屋のデメリットとは?
先日、新築の分譲マンションの購入を検討している方から相談がありました。
「営業マンから角部屋の購入をさかんに勧められているのですが、角部屋にはデメリットはないのですか?」というものです。
「角部屋」とはマンションの各フロアの端にある住戸のことで、そのほとんどは住戸の3面に窓があり、室内にたっぷりと光が差し込んで風通しも良いのが最大のメリットといえます。
また廊下の突き当りにあることが多いので不特定多数の人が部屋の前を往来することもなく、低層階でなければ集合住宅の割にプライバシーを確保しやすいといえます。
しかし必ずしもメリットしかないわけではありません。
そこで今回はマンションの角部屋のメリットとデメリットを紹介したいと思います。

マンションの角部屋のメリット
一般的には角部屋には次のメリットがあります。
・窓が多いため採光性に優れ、風通しが良い
中部屋が2方向にしか窓がないのに対して角部屋には3面に窓があることがほとんどなので、開放感があって日差しがたっぷりと差し込み、風の通り抜けもスムーズです。
また高層階の角部屋は、眺望の良さが大きなメリットになることがあります。
・玄関前の人の行き来が少ないため、防犯性に優れてプライバシーを確保しやすい
角部屋は物流業者が部屋の前を行き交うことも少ないので、防犯性が比較的高いといえます。
・隣からの騒音トラブルに悩まされるリスクが少ない
角部屋は片側のみしか他の住戸に接していないので、騒音トラブルが発生するリスクが低くなります。
また小さな子供がいる場合でも、子供が騒いで隣人に迷惑をかけることが少なくなります。
・高く売りやすく貸しやすい
角部屋は中部屋と比較して希少価値があるので、資産価値が高いといえます。
同じマンション内の中部屋との価格差をチェックして納得した上で購入すれば、購入後に後悔することもないでしょう。
・玄関前にポーチがあったり、部屋の2面がバルコニーに面していたりすることがある
角部屋は中部屋よりも個性的な造りになっていることが多く、専有面積が広めになっていることもあります。
マンション角部屋のデメリット
角部屋にはメリットしかないわけではありません。
購入後に後悔しないようにするためにも、デメリットも理解しておくことが大切です。
・室内の温熱環境的には決して好ましいとはいえない
角部屋は3面が外部と接しているため外壁や窓からの熱損失が大きく、結露が発生しやすかったり冷暖房効率が低くなったりすることがあります。
特に2000年に住宅性能表示制度が施行される前に建築された中古マンションを購入する場合には、断熱性能が高くないものが多いので光熱費が嵩むため注意が必要です。
その点中部屋は上下左右の住戸が断熱空間となってくれるので、省エネ性能が比較的高いといえます。
・外部の音や視線が気になる
特に1~2階の低層階では交通量の多い公道に面していると、騒音や外部からの視線が気になることがあり、防犯面でも不安が残ります。
敷地に余裕があって公道までの距離が十分確保されているか、建物の周囲が植栽などで覆われていて、外部からの視線が遮断されているかといった点にも注意が必要です。
・窓が多く壁が少ないため、家具の配置が難しくなる
窓が多くなると家具を自由に配置するのが難しくなり、背の高い家具やテレビの置き場所にも困ることがあります。
・分譲価格が高めになることが多い
角部屋は相対的に数が少なく人気が高いので、中部屋よりも分譲価格が高めになることが多いといえます。
・エレベーターや階段までの距離が長くなることがある
自分の部屋の反対側にエレベーターや階段がある場合には、部屋までの移動距離が長くなってしまうことがあります。
マンションの角部屋で快適に暮らすためのポイント
角部屋にはメリットとデメリットがあるので、角部屋で快適に暮らすためには工夫が必要です。
ポイントは以下の通りです。
・結露対策を行う
角部屋は結露が発生しやすくなります。
外部と室内との温度差が大きくなると結露が生じてしまうので、暖房時には換気をこまめに行う、部屋の暖め過ぎに注意するなどの結露対策が不可欠となります。
・防犯対策を怠らない
特に低層階の角部屋は、窓から空き巣に侵入されやすくなります。
ガラスには防犯フィルムを貼る、防犯カメラやセンサーライトを設置するといった必要な防犯対策を怠らないことが大切です。
・家具の配置に工夫が必要
角部屋は窓が多くなるので、どうしても家具の設置場所が限られてしまいがちです。
したがって家具を新たに購入する際には、あらかじめ設置場所を検討しておく必要があります。
・必要な防音対策を行う
角部屋は隣接する住戸からの生活音に悩まされることはあまりありませんが、窓が多い分、室外からの音が侵入しやすくなります。
外からの音が気になる場合は、窓の隙間を遮音テープなどで塞ぐ、内窓を設置するといった防音対策が必要になることがあります。
まとめ
角部屋は希少価値が高いため、同じ建物内でも中部屋よりも高額で取引されることが多くなります。
しかし外気に触れる面が多いため、温熱環境的にはマイナス面も少なくありません。
したがってマンションの営業担当者のセールストークを鵜呑みにせずに、デメリットにも目を向けて様々な視点から検討することが大切です。
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かめだの部屋 住宅診断士 亀田 融