家を建てる際の業者選びには細心の注意を!

満足度の高い家を手に入れるためには業者選びが非常に重要です。

特に新築住宅の場合には、これを疎かにしてしまうと一生後悔することにもなりかねません。

長い間住まいづくりに関わってきた私から言えるのは、予期せぬ不具合やトラブルに見舞われるケースの多くは業者選びが原因であるということです。

また国内の住宅は主に注文住宅と建売住宅に分けられますが、国土交通省が2023年4月28日に公表した建築着工統計調査報告(令和4年度計)によると、2022年度の新設住宅着工戸数は注文住宅が248,132戸で前年度比11.8%減だったのに対して、建売住宅は144,321戸で前年度比0.1%増でした。

注文住宅が減少傾向にあるのに対して、建売住宅は僅かながらも需要を伸ばしていることがわかります。

注文住宅と建売住宅とでは業者を選ぶ際の注意点が多少異なりますが、本記事では注文住宅に的を絞って業者を選ぶ際の注意点を紹介したいと思います。

注文住宅を建てる業者の種類とそれぞれの特徴

注文住宅を建てる業者には、ゼネコン、ハウスメーカー、工務店があります。

その他では、設計業務のみを行っている建築設計事務所が存在しています。

また分譲住宅(建売住宅)の販売をメインとするパワービルダーと呼ばれる会社の中にも、注文住宅の建築を請け負っている業者がいます。

中心となっているのが一建設や東栄住宅、タクトホームなどのグループ企業を持つ飯田グループホールディングスです。

それぞれの主な特徴は次のようになります。

・ゼネコン、ハウスメーカー

ゼネコン、ハウスメーカーは、土地探しから資金計画、設計、施工、アフターサービスに至るまで、トータルなサポート体制を備えています。

また全国展開している大企業が多いので、経営基盤が安定していて倒産のリスクが低いといえます。

大手ハウスメーカーのほとんどが自社工場を持ち、資材の調達から施工までを一貫して管理しているため、品質にバラツキが生じにくいこともメリットのひとつといえます。

さらに耐震性や耐火性、省エネ・断熱性能といった住宅性能のレベルも高いといわれています。

しかし広告宣伝や住宅展示場の運営・維持費、商品の研究開発にコストがかかるため坪単価が高くなりやすく、規格化された資材を使用するために注文住宅といっても設計の自由度はそれほど高くはありません。

・工務店

工務店は地域に根付いて事業展開していることが多く、工務店が建てる家は比較的設計の自由度が高いのが特徴です。

地域の特性や風土、環境を考慮した家づくりができるのが最大のメリットといえますが、選ぶ工務店によって品質のバラツキが大きく、ハウスメーカーと比較して企業規模が小さいために倒産のリスクが高いことがデメリットとなります。

しかし地域密着で事業展開しているため、少しでも悪い評判が立つとあっという間に拡散してしまいます。

そのため地域で長く建築を行っている会社であれば、比較的信頼度が高いといって良いでしょう。

・パワービルダー

主に建売住宅の建築を行っているパワービルダーは、基本的には木造の在来工法や2×4工法などのオープン工法(一般に公開されている構造・工法)を得意としていて、ハウスメーカー、工務店よりも安価で家を建てることができることを売りにしています。

しかし自由設計とはいっても構造や仕様、デザインなどには制約が多く、住宅性能やアフターサービスの面でもゼネコンやハウスメーカーの家には及ばないことが多いといえます。

提案力も多くは期待することができないでしょう。

また建売住宅も建築しているため年間の施工棟数が多く、常に職人が不足している傾向があります。

そのためホームページなどで大工を募集している会社には注意が必要です。

・建築設計事務所

建築設計事務所では住宅の設計のみを行い、施工は工務店に依頼します。

ハウスメーカーや工務店、パワービルダーが施工者側の立場で設計を行うのに対して、設計事務所は依頼者側の立場で設計作業を行うのが大きな違いといえます。

そのため、他にはないオンリーワンの住まいを実現することができたり、狭小地や変形地、傾斜地などのハウスメーカー、工務店などでは断られてしまうような特殊な形状の土地でも対応してもらうことができたりします。

また建築設計事務所に依頼すると、設計事務所が監理者となって現場での検査を行ってもらうこともできます。

しかし一部の設計事務所では、建物を自分たちの作品としか考えていないこともあるので、建築主のことを第一に考えてくれる建築士と出会えるかどうかが肝になります。

まとめ

注文住宅の建築の依頼先には様々な会社がありますが、業者ごとに特徴があるので、建築を依頼する際にはそれぞれの業態やメリット・デメリットを客観的に把握しておく必要があります。

自分が希望する注文住宅とはどのようなものなのかを良く考えた上で、要望に合った依頼先を決めることが大切です。

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かめだの部屋 住宅診断士 亀田 融