【保存版】住宅診断・ホームインスペクションを依頼する前に知っておくべきこと

【保存版】住宅診断・ホームインスペクションを依頼する前に知っておくべきこと

今回はホームインスペクションの全体像について長文ですがお話をしていきたいと思います。ホームインスペクションの成り立ちからご説明するとなぜ今このようなわかりづらい制度になっているのかがわかります。
お時間の無い方は、途中からでもお読みください。

ホームインスペクションの現状と背景。

1年程前まではホームインスペクション・住宅診断について『よくわからない』という方が多かったような気がしていますが、ここのところその流れが大きく変化しているように感じます。これはホームインスペクション・住宅診断業界の診断実績が増えるごとに不動産屋会社やお客様へも浸透し始めているのではないかと思います。こうなってくると注意すべきは様々な業者の参入、これは建築業界だけにとどまらず、WEBの業界にも波及しています。競争が始まれば広告費の高騰により価格が上がるか、または逆に品質と共に価格が下がるか…。

おそらく現在の適正相場は4万円~10万円前後。(約30坪の木造2階建)
※調査内容により幅が見られます。
ここからどのように相場が動くのかにはそれなりの理由があります。
安くても高くても問題がありそうです。

価格を上げざるを得ない理由は広告費またはインスペクション組織の肥大化。
インスペクションはお客様が必要と思って実施するもの。こちらから押し売りをするようなものではありません。

逆に価格を下げざるを得ない理由は顧客の取り合い。価格競争が激化し、ホームインスペクションの質の低下などを招きます。ホームインスペクションは個別の住宅に対して『人』が行うもの。大量受注が出来たとしても、その価格には限度があります。もし一定以上の価格を下回っているようであれば、その後のリフォーム営業が絡むと思って間違いないのではないでしょうか。

変わり始めたインスペクションに対する理解度

ほんの1年程前までは、インターネット上にはホームインスペクションは必要ない・インスペクションの裏での癒着がある等の記事が目立っていました。おそらくそれはホームインスペクションに対してただの粗さがし的な見方をしている人が多かった、またはホームインスペクションの第三者性を都合よく業務に繋げていこうとしている人が多かったのではないかと思っています。

しかし、現在はその理解者は徐々に増えており現在では積極的にホームインスペクションを取り入れたいのだがどうしたら??等不動産会社の方からお問い合わせをいただくことも多くあります。

誠実な不動産屋さんが買主さん・売主さんの為に動き始めているといっても良いかもしれません。これから日本の不動産取引はもっと良くなると言ってもよいでしょう。

ホームインスペクション・住宅診断のおさらい

そもそも、住宅診断・ホームインスペクションのことについておさらいをしていきたいと思います。

ホームインスペクションは個別の住宅に対して、劣化の程度や不具合、修繕・改修が必要な箇所などを第三者のホームインスペクター・住宅診断士(建築士・既存住宅状況調査技術者等)が調査をし、建物の状態を把握した上で住宅の購入が出来るようにするものです。

第三者の公正・公平な立場での診断が重要です。
イメージがしづらいですが、不動産取引は『売主』がいて『買主』がいます。
お互いに高く売りたい、安く買いたいという心理を持っています。

悪いところはなるべく見られたくないのが『売主』の心理。
悪いところがあったら不安というのが『買主』の心理です。

ホームインスペクターはどちらかが『有利』になってしまうような発言はしません。ただ建物の状況を的確に伝えることがホームインスペクターの仕事です。

ホームインスペクションの背景

ホームインスペクションはアメリカの制度を参考にして日本に持ち込まれたと言われています。

アメリカでは中古住宅の流通が盛んで、家は資産という考え方が根付いています。対して日本は『家』は値が付かない資産、どちらかというと土地に対しての価値が大半を占めます。アメリカの家が個人の資産としてその価値を維持しまたはそれ以上の価値になっていくのに対して、戦後の日本の家は消費されていくだけの物でした。ボロボロになったから新しい家に住み替えよう…という発想が、現在の空き家を増やす一因にもなっています。

そんな状況で国が動いたのが、インスペクションの制度化です。

宅建業法により制度化された。

ホームインスペクションは平成25年に国土交通省(国交省)によりガイドラインが策定されました。その内容には建築に関すること、第三者性に関すること、倫理性に関することなどが盛り込まれ、この業務をするのにはその人間性が重視されています。

そして平成30年4月(2018年4月)の宅建業法(宅地建物取引業法)の改正により、媒介契約時、重要事項説明時、売買契約時にそのことについて説明をするように定められました。日本でのインスペクションとして定められたものが建物状況調査になります。

ここで注意すべきなのは、インスペクションの実施自体が義務化をされたのではありません。

  • 媒介契約時に不動産会社がインスペクションの斡旋が出来るか(斡旋の可否)
  • インスペクションを行ったか、その場合にはその結果はどうだったか

を説明することが義務化されたのです。
よって、実際にはインスペクションをやらなくても違法ではありませんが、もし買主さん・売主さんともにインスペクションの説明を聞いたことが無い…といった場合には違法の可能性がありますので、ご注意ください。

ホームインスぺクションを実際に依頼する

誰に依頼すれば良いのか

ホームインスペクターには建築士、建築士ではない者、宅建士等様々です。
建築士ではない人でも知識・経験が豊富な人は沢山います。
しかし建築士であるということにはその法律上(建築士法)の業務にあたり、不誠実なことをした場合には罰則等が規定されています。本当に信用できる方であれば良いですが、それ以外は建築士に依頼をすることが無難ではないでしょうか。

※資格の種類等についてはこちらの記事でご説明しています。
よろしかったら合わせてお読みください。

ホームインスペクションを依頼するベストタイミング

ホームインスペクションを頼むのはいつが良いでしょうか?
住宅の購入時には大まかに買主さんがするアクションがいくつかあります

  • 媒介契約(不動産屋さんと主に仲介手数料についての契約)
  • 物件探し(気に入る物件を探しましょう。)
  • 購入申込(買付証明・買付申込)
  • 重要事項説明を受ける
  • 売買契約
  • 引渡し

どの時点がベストタイミングかというと、購入申込後~売買契約前の間です。
なぜでしょう。

  • 購入申込と売買契約は別物です。ホームインスペクション後に契約をやめても申込金等は返してもらえます。
  • 売買契約後であれば、その解約についてが難しくなってきます

上記は慣れないと少し難しい話になるので、こう覚えてください。

購入申込の条件に、ホームインスペクション結果によっては契約をしないことがある旨を明記する。

ただし、この場合はインスペクションなしでも契約する…という人が現れた場合にはそちらの条件の方に契約をされる可能性もあります。購入意思を示したあとは速やかにホームインスペクションを実施することをおススメします。

ホームインスペクション・住宅診断のベストタイミングは購入申込時

弊社では最短翌日、実績では当日対応等も行っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

また、もちろん売買契約をした後でもホームインスペクションを実施することは可能です。また新築分譲・建売り住宅の場合は内覧会に合わせてインクぺクションを実施します。新築だからと言って不具合が無いわけではありませんのでご注意ください。

ホームインスペクションの内容・検査範囲

ホームインスペクションの検査範囲についての基本は以下の通りです。

【外部】

  • 基礎
  • 外壁仕上げ
  • 屋根
  • 軒裏
  • 雨樋
  • 外部に取り付けられている金物等
  • バルコニー等
  • 外部階段

【内部】

  • 壁、柱および梁のうち屋内に面する部分
  • 天井
  • 階段
  • 開口部

【床下の状態】

  • 土台および床組
  • 基礎および床下面

【小屋裏(屋根裏)・天井裏の状態】

  • 小屋裏
  • 各階間の天井裏・下屋の小屋裏

【設備の状態】

  • 給水設備
  • 給湯設備
  • 排水設備
  • 換気設備
  • その他

※建物状況調査の場合は内容が一部異なります。

これだけ項目を診断していきます。この中に個別の小項目(外壁であれば、サイディングなのか、モルタル吹付等の仕上げなのか…基礎であればコンクリート直仕上げなのかモルタル塗仕上げなのか等)を確認しながらそれぞれの工法に沿った診断をしていきます。

床下・小屋裏(屋根裏)進入調査は省略するべからず

またインスペクション会社によって大きく異なることは、床下や小屋裏(屋根裏)に進入して調査をするのか、点検口から見える範囲での調査となるのかの扱いです。

もちろん建物の奥の奥まで診断をすると、作業量が増えるのでオプション扱いとなっているインスペクション会社が多いのですが、実際には進入してみないとわからないことが多く、インスペクションの効果は半減する可能性が高いです。建物の品質を確認する目的でインスペクションを実施するならば進入調査は必須事項と言って良いかと思います。

アフリスペックではその重要性を大切にし、認定インスペクションにおいて小屋裏・床下への進入調査を標準仕様としています。

どのインスペクションを依頼すればよいのか

ホームインスペクション、インスペクション…と同じような言葉だらけで分かりづらい…と思われていると思いますが、その通りなんです。
インスペクションという言葉が独り歩きをしてしまい、非常に分かりづらい状況にありますので、ここでは立場毎にどのインスペクションを依頼すべきなのかをご説明致します。

建物状況調査とホームインスペクションの違い

建物状況調査は宅建業法上で定められたインスペクションです。
これがほとんどの住宅取得支援制度の根幹になっていることは間違いないかと思います。

しかし建物状況調査(インスペクション)を実施する場合には、この進入作業までは必須項目となっていません。点検口から見える範囲での点検となっています。建物状況調査が実施されているから安心というものではないので理解しておきましょう。

建物状況調査は既存住宅売買瑕疵保険とセットで活用をすることが重要です。
『制度活用と保険での保証があるから安心でしょ?』という内容の制度なのです。決して安全を保証しているものではありません。

つまり、床下の奥の方で蟻害があったり、基礎の著しい亀裂があっても保険に加入出来てしまうことがあります。『何かあった』場合には保険での対応が可能ですが、何もない、又は何も気付かない、等の時にはその建物の状態がどうであれ安全が保証されているものでは無いということです。

もちろん、ホームインスペクションについてもその安全を保証する意味はないのですが、出来るだけ詳細に不具合事象を確認しておくことは、その後のメンテナンス計画等の際に非常に重要な意味を持ちます。

立場によって依頼すべきインスペクションの種類は異なる

ホームインスペクションは以下の通りです。それぞれの立場において依頼すべきものが異なります。これを間違えると調査内容が重複したり、またはあまり意味のないインスペクションになってしまいますのでご注意ください。

  • 売主がするべきもの…建物状況調査・フラット35適合証明検査
  • 買主がするべきもの…ホームインスぺション(認定インスペクション)

売主がするべきインスペクション①…建物状況調査

売主さんがやっておくべきインスペクションは『建物状況調査』です。
また『既存住宅売買瑕疵保険』に加入が出来るかの判定をしておくことも重要です。

もし『既存住宅売買瑕疵保険』に入れない状況にある場合には、どうしたら入れるようになるか…を調べておきましょう。

これらをすることで買主さんの資金計画が立てやすくなり、選ばれやすい建物になることが出来ます。

宅建業者さんも、売主となった場合にやるべきインスペクションはこの『建物状況調査』です。

売主がするべきインスペクション②…フラット35適合証明検査

売主さんがやっておくべきインスペクションのもう一つ。
フラット35適合証明検査です。

これも建物状況調査・既存住宅売買瑕疵保険と同様に、買主さんがその選択肢の一つとして確認する部分です。

買主がするべきインスペクション…ホームインスぺクション(認定インスペクション)

買主さんがやっておくべきインスペクションは『ホームインスペクション(認定インスペクション)』です。

前述しましたが、床下、小屋裏(屋根裏)への進入作業なくして建物の状態を診断するのは難しいかと思います。

買主さんはホームインスペクション(認定インスペクション)一択で考えて良いかと思います。
※弊社の場合はホームインスペクション(認定インスペクション)で建物状況調査の範囲をカバーしていますので、制度活用や既存住宅売買瑕疵保険などの加入対応も可能です。その他の制度にも対応していますので、ご確認ください。

最も良いのは、建物状況調査+認定インスペクション

これが理想の形かと思います。

売主さんが制度上のインスペクションを実施して、多くの制度が活用できるとわかった建物について、買主さんが確認の意味でこの建物をインスペクション(認定インスペクション)するというもの。

国の一定基準を通過した建物は『一定程度』の品質を認められています。

それに対してさらに詳細な調査を入れることで、安心感も倍増するのではないでしょうか。

まとめ

今回は、インスペクショを行う前に知っておいた方が良いことについて書きました。しかし、いきなりこんなに書かれても分からない…という方はお気軽にお問い合わせ下さい。