分譲マンションの管理。機能不全になる前に。
分譲マンションの管理。機能不全になる前に。
マンション(共同住宅)管理に関する問題。
高経年マンションやタワーマンション、今後の修繕や空き家問題等を考えると頭がいたいところです。
新築マンション・中古マンションの購入を考えた時にこのことを頭に入れておかないと、数十年後、資産になるはずが資産でなくなる可能性があります。
この問題は今後一気に加速していくと見られており、そんな中マンション管理のコンサルティングが増えていくのは流れとしては当然なのかもしれませんが、コンサル選びにも少し注意が必要です。
マンションに関する問題を解決するという名目で、年間に100万円単位の金額をむしり取っていく『名ばかりコンサル』。これが大きな問題となっています。
『名ばかりコンサル』の原因
せっかくみんなで出し合った管理費が、何の目的も果たさず湯水のように使われていく。ちょっとおかしいですよね。でもその原因は所有者(組合員)にもあるのです。
一戸建ての場合には屋根・外壁・給排水等のメンテナンスはその所有者にゆだねられています。
一方でマンションは…管理費と修繕積立金を支払っていればやってくれるものだと思っていませんか??
マンションの意思決定は本来は所有者が皆で話し合って、意見をまとめて方針を決定していくものです。しかし、面倒くさい…仕事が忙しい等の原因で人任せにしていませんか。
そこがマンション管理機能不全の原因の一つ。
自分の資産は自分で守る。これは一戸建てでも、マンションでも同じことなんです。
人に任せればその分お金が掛かります。
そして任せるということはある程度の権限を与えることになります。
その権限の範囲内が『ブラックボックス』なんです。
お金を払いながら、更にお金をむしり取られる。
ちょっと恐ろしい世界ですね。
コンサルティングをされてみる
これをコンサルティングされる側から考えてみます。
我々が最も大切にしていることは、それぞれの立場になって物事を考えることです。そして一口にマンションのコミュニティといっても、マンション内にも立場の違いがあり、それぞれの感覚は異なっています。
- マンションには住んでいるからこそ感じることがあります。
これは通常の住民として、そのマンションの管理に物申したい…という感覚です。多くの人が持ているものかと思います。 - 管理組合や自治会等に入ってみてその管理の大変さを感じます。
これは管理組合や自治会の運営側が感じるものです。ほぼボランティアに近い住民でのマンション管理運営はできればやりたくない…というのが本音。でもその必要性を理解し、役割を担ってくれている人がいます。 - 外部の人にコンサルティングされて感じることがあります。
主にマンション管理のコンサルティングは管理組合(理事会)に対するものがほとんど。(厳密にいうと分譲マンションの所有者は組合員です)決定権のある理事会を相手に仕事をするため、住民ひとりひとりに細やかなコンサルティングが出来るわけではありません。主にどうやって住民の合意形成を図っていくか等に焦点があてられます。何とかしてほしくても、結局は理事会の意思決定が必要なので、責任が発生する部分については逃げられます。
それぞれの立場で感じること、思っていることの違いを理解した上で初めてコンサルティングができるのではないでしょうか。
いくらマンションの建築に詳しくて、マンション管理を勉強して、資格を取ったところでそのそれぞれの立場を理解しなければ、本当のコンサルティングは難しく、そこに住む人、コンサルティングされる側の気持ちはわからないということです。
マンションに住むということはお金(修繕積立金・管理費)以外の様々な事が絡み合います。そしてそこに住む大勢の人がより良い生活になるようにしなければなりません。
人・お金・コミュニティそれらを上手に交通整理するのがマンション管理コンサルティングの本質ではないかと考えます。
管理会社と施工業者の関係
皆さんのお住まいのマンションの管理体制はどうなっていますか?
住民が積極的に関わっていますでしょうか?
それとも持ち回りの当番制でしょうか?
後者の場合には特に注意が必要です。
機能していない理事会をいいことに、マンション管理会社と施工会社が繋がっている可能性があるのです。
高額過ぎる業者見積がそのまま理事会承認…。
マンションに限らず、建物は必ずと言っていいほど不具合が発生します。
そしてその都度行う小規模な修繕は主に営繕費として修繕積立金とは別の一般会計から支払いされることが多いです。
さてその時の修繕費がいくら掛かるか分かりますか?
その時に業者はどこに頼みましょう…。
『良くわからないし、面倒だから管理会社にお任せで…』
意外と多いのではないでしょうか?
でもちょっと待ってください。
この時です!せっかくみんなで積み立てたお金がどこかに行ってしまうのは。
お金が出て行ってしまう例
例えば住戸数20戸のマンション。
それでは10000円の管理費を積み上げたら1年後にいくら貯まるでしょう。
10000×20戸×12か月=240万円
みんなで1年掛けて溜めたお金、
その時にちょっとした修繕工事がありました。
とりあえず管理会社が見積をとって、理事会に提出。
その理事会のメンバーが金額の相場等、何もわからなかったらどうでしょう…。
『そんなもんなんですかね…』『ポン!(←ハンコをつく音)』
経験上、通常の見積った修繕価格の4倍~5倍程度の見積が提出されていることもありました。
20万円で終わるはずの工事が、なんと80万円~100万円です。
残ったお金でその他の管理をしなければなりません。
言葉が悪いですが、マンション管理は業者にとってはドル箱と思われているかもしれません。
そうならない為に『専門委員会』を作るべし。
こんな時の為に何が必要なことは、理事会の下部組織として委員会を作っておくことかと思います。マンションの住民の中で、特に建築やマンションに詳しい人を見つけてください。
マンションの内部に自主的な第三者委員会を設置するのです。
何か急なお金が掛かりそう…という時は多少煩わしくても委員会を通して理事会に上げるという作業で数十万円~数百万円、場合によっては1千万円単位の費用を圧縮できる可能性があります。
また委員会についてはマンション全体の意思決定を行うものではありません。
それを理事会に上げて理事会承認・又は総会の議決を図る必要があります。
理事会の意思決定にゆだねる前に、前段階での各種検討が必要ということです。
『名ばかりコンサル』や『管理会社と施工会社の癒着』等による金銭的被害を食い止める方法です。
そういうルールをマンション内につくっておきましょう。
専門家が見つからない場合にはお声掛けください。
建築やマンション管理がわからない持ち回りの理事だけで運営しているマンションは特に注意が必要です。
費用相場やその工事の必要性。
もちろん、最終的には管理組合(組合員)が決定することですが、一歩でも二歩でも引いた目で確認することは大切です。
修繕積立金や管理費はマンションに住むあなたの共有資産です。
それをいかに適切に積み上げていくかは今後のマンション管理運営に大きな影響を与えます。
『マンションは菅理を買え』とはよく言ったもの。
適切な管理、メンテナンスがされて初めてマンションとしての資産価値を維持できます。機能不全に陥りそうな管理組合は本当に多い。
ローンを払い終わったと思ったら…修繕の為に管理組合がローンを組んで、結局支払いが増えた。
こうなりかねないのでご注意を。
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アフリスペックでは健全なマンション管理を守るアドバイスが可能です。
そんなときにはお気軽にお声がけください。
千葉市のホームインスペクション・住宅診断専門事務所
アフリスペック一級建築士事務所でした。
それではまた。