【ホームインスペクターが教える!】建築学科の授業内容!
みなさんこんにちは(^^)/アフリスペック一級建築士事務所、新潟エリア担当の関谷春樹です!徐々に気温も高くなり蒸し暑い日が続くようになりましたね^^;
実は私はホームインスペクションの仕事をしながら建築学科の専門学校で講師の仕事もしています。教えている内容は「構造力学」「環境工学」「大工」の3科目です。
学生達も苦手意識の高いマニアックな科目だと思います(^ ^)/
今日は最近感じている「教科書」と「実務」とのズレについてブログを書こうと思います。
建築学科で教えている内容
最近強く感じているのは実務をしながら教えている私からすると教科書を勉強しているだけでは実務で使える知識は身につかないのではないかと思います。
ここでは環境工学について書いていきます。
下の図はヒートブリッジ(熱橋)について授業内で解説している内容です。
ヒートブリッジとはまわりの部分より断熱が弱くなっている影響で結露が発生しやすい部分のことを指します。建築をしている人ならば必ず知っていなければいけない知識です。
もちろん授業で教えるような断熱や結露の概念を知っていないといけませんが実際の写真や不具合事例などがないとこれを知らない重大さに気付けないのではないかと思います。
そこで私は実務で経験した写真などを見せながら授業を進めるようにしています。
下の写真は実際に新築現場であったヒートブリッジ部分の施工不良です。
建築会社にヒートブリッジ(熱橋)について質問しても知識がなく答えられないケースがよくあります。
これらを建築会社の断熱仕様という一言で片付けてよいものでしょうか。
実際にヒートブリッジ部分に断熱材がなく結露が発生して床下にカビが発生している現場を見ると正しい知識をつけてから施工しなければならないと思います。
学生はなんとなく教科書に書いていることだと感じるかもしれませんが私たちのような実務者が実際の現場の状況や不具合事例を話すことによって学生に危機意識をもたせるように心がけています。
教科書と実務とのズレ
上記に書いたように教科書をただ読んでテストで答えているだけではまったく実務での力はつかないと思うので出来る限り実際に経験したことや現場の写真などを見せながら学生には勉強してもらいたいと思います。
これは学生に限らず建築士にも同じことが言えると思います。
建築士の試験では建築学科で勉強するような問題が出題され現場に出たことのない人でも試験に合格すれば建築士として名乗れます。
このような人たちが実際の現場を知らずに設計や監理、施工をしてしまうと不具合が出てしまうので一級建築士だから安心とは考えずに第三者の立場であるホームインスペクションを活用していただければ少しでも不安を取り除けるのではないでしょうか。
建築常識を見につけるために
学生には「建築常識を身につけないと自分の好きな仕事はできないよ」とよく言います。
私の教えている専門学校には建築設計科、インテリアデザイン科、大工・測量科がありますがどんな仕事につくにしても建築常識を知っていないと施主にも会社にも迷惑がかかり結果として自分がやりたい仕事なんてさせてもらえないよと伝えています。
構造力学にしても環境工学にしてもとっつきにくく教科書を読んでもよくわからないことだらけです。
教科書に書いてあることを丸暗記してテストでいい点を取れても果たしていい建築人になれるのでしょうか。
教科書で知識をつけ、現場で実際の事象を確認してもう一度教科書に戻ることによってその事象について深く理解することができると思います。
もちろん学生なので現場に出ることはできませんができるだけ多くの現場の情報を伝えることでイメージがつきやすくなるのではないかと思います。
まとめ
私は高校を卒業してから大工になり現場監督や建築士として多くの実務経験を積んできました。しかし建築学科の専門学校も大学も出ていないため学校で建築を勉強する機会がありませんでした。
そのため自分で勉強を始め二級建築士を取得し現在一級建築士の勉強中です。
今思い返せば二級建築士の勉強を始めたのは自分の知識不足を実感して実務者としてこのままではいけないと思ったのがきっかけです。
当時は大工さんをしていたので、まわりからは「大工なのに建築士の資格なんていらない」などと言われましたがそれは絶対に違うと確信していたので勉強を続けることができました。
当時の私からしたら専門学校で教えているなんて夢にも思いませんでしたが建築士として実務の現場に出ていたおかげで声をかけていただきました。
今、建築業界は人手不足ですがこれから建築人として働く学生達のためにも教科書に書いてあること以外も伝えていきたいと思います(^^)
今回はホームインスペクション以外の仕事紹介になりましたがホームインスペクションと講師の二足の草鞋で少しでも建築業界をよくするために活動していきたいと思います!
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