意外と重要な石膏ボードの釘やビスの間隔
近年の住宅には、室内の壁や天井の下地材(ビニールクロスなどの仕上げ材の下にあるボード類)として「石膏ボード」が使われていることがほとんどです。
石膏ボードとは石膏を芯としてその両面及び長さ方向の側面をボード用原紙で被覆成形したもので、木製や鋼製の下地材に専用の釘やビスを使用して留め付けていきます。
しかし石膏ボードを留め付ける釘やビスには、長さや種類、間隔などに規定があり、同じ木造住宅でも在来軸組工法と枠組壁工法(2×4工法)とでは異なることをご存知でしょうか。
実際に工事中の検査を行うと、不適切な施工が行われていることが少なくありません。
そこで今回は、正しい石膏ボードの取り付け方法について紹介します。
石膏ボードの取り付け方で耐震強度が変わる!
皆様の中には「たかが下地の石膏ボードを留め付ける釘やビスなので、それほど気にする必要がない」と思われることが多いのではないでしょうか。
しかし石膏ボードの取り付け方法にはさまざまな規定があります。
そして万が一規定通りに施工されていない場合には、設計上の耐震強度が確保できなくなることもあるほど重要なものになります。
したがって新築住宅の工事中の検査では、釘やビスの種類と間隔の確認は是非行っておきたい項目の一つといえます。
特に耐力壁と呼ばれる構造耐力上主要な壁においては、釘やビス間隔のチェックが非常に重要になります。
石膏ボードの取り付け方法
木造住宅の代表的な工法ごとの壁の釘やビスの間隔は、一般社団法人石膏ボード工業会が監修する「石膏ボード施工マニュアル」によると次のようになっています。
・在来軸組工法の場合
耐力壁(告示仕様) 釘間隔 外周部150mm以下、その他150mm以下
一般壁 釘又はビス間隔 外周部200mm以下、その他300mm以下
・枠組壁工法(2×4工法)の場合
全ての壁 釘又はビス間隔 外周部100mm以下、その他200mm以下
また木製下地に釘打ちする場合は、ボード厚の2.5~3倍程度の長さをもつ釘を使い、ビス止めする場合は、石膏ボード厚よりも15mm以上長いものを用いて頭が平らになるまで十分に留め付けることとなっています。
そして石膏ボードを留め付ける釘やビスの間隔については、住宅金融支援機構が監修している「木造住宅工事仕様書」や国土交通省が監修している「公共建築工事共通仕様書」にも記載されていてそれぞれで多少異なりますが、一般的には石膏ボード工業会のマニュアルに沿って施工する必要があります。
自分でできる!釘やビスの間隔を測定する方法
釘やビスの間隔は工事中であれば比較的容易に確認することができますが、建物がすでに完成していてクロスが貼られた状態だと簡単に確認することができなくなってしまいます。
そのため金属探知機などの機材を使用して確認する方法がありますが、特殊な機材を使わなくても誰でも簡単に確認できる方法があります。
それはホームセンターや100円ショップ、ネット通販などで販売されているネオジム磁石と呼ばれる磁石を使って確認する方法です。
尚、ネオジム磁石には様々な大きさのものがありますが、釘やビスの間隔を測るのであれば、直径1cm、厚さ2mm程度のものが適しています。
50個で、1,000円以下で購入することができます。
この磁石を壁にあてがいながら少しずつずらしていくと、釘やビスがあるところで吸着します。
非常に強力な磁石なので、壁紙が貼られていても釘やビスの上でピッタリと貼りつきます。
耐震強度は確保されているか
室内の全ての壁を漏れなく確認することはできませんが、数か所を調べて規定よりも間隔が広いところが数多く見つかる場合には、設計上の耐震強度が確保できていないことが疑われます。
原因としては、石膏ボードを仮止めしたままの状態でビスを打ち忘れてしまうこともありますが、中には明らかに手抜き工事と思われるものもあります。
そのような場合には、専門家による詳細な建物調査を行った方が良いでしょう。
また前述したように在来軸組工法と枠組壁工法(2×4工法)とでは規定が異なるので、職人や現場監督が不慣れなために施工ミスが発生してしまうことが稀にあります。特に2×4住宅をリフォームする場合などには、職人が規定を知らずに施工不良となってしまうことが多いので注意が必要です。
を行った場合には、所得税が一定額控除されたり固定資産税が減額されたりするので、一度調べてみると良いでしょう。
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『かめだの部屋』住宅診断士・ホームインスペクター 亀田