リフォーム前の第三者によるホームインスペクション(住宅診断)のすすめ

中古住宅を購入する前に、専門家にホームインスペクション(住宅診断)を依頼することが国内でも徐々に浸透してきつつあります。
しかし中古住宅の購入前に行うホームインスペクションと同じくらいに重要なのがリフォーム前のインスペクションです。

リフォーム会社に現地調査を依頼してはいけない

リフォーム前の現地調査(建物調査)はリフォーム会社でも行なっていますが、リフォーム会社が行う調査はどうしても依頼者との利害関係が絡んでしまうので、以下のようなリスクがあります。

・リフォーム会社から不要な補修工事や高額な設備の交換工事などを提案されて、無駄な費用が発生してしまうリスク
・見た目ばかりを優先して劣化や不具合の補修など本来必要な工事を同時に行わなかったため、リフォーム後に改めて工事が必要になるリスク
・リフォーム会社の調査不足で雨漏りやシロアリ被害が発生していることを事前に把握することができなかったために、工事着工後に想定外の追加工事が発生するリスク

こうしたことが起こってしまう背景には、以下の理由があります。

・一口にリフォーム会社といってもその業種・業態は様々で、設備会社や電力供給会社、塗装業者、内装業者、家電量販店、不動産業者なども存在していて、構造躯体などの自社の専門外の工事についてはわからないことが多い
・効率よく稼げる(受注金額や利益額が高額になる)提案内容になる傾向がある
・意識の低い業者も多い(請負金額が500万円未満のリフォームは建設業の許可が不要)ため、新築住宅を建てる時よりもトラブルの発生リスクが高くなる

尚、リフォーム関連のトラブルは非常に多く、公益財団法人 住宅リフォーム紛
争処理支援センターの「住宅相談統計年報2020」によると、リフォームに関す
る相談件数は年間で約12,000件となっています。

そこでこれからご自宅のリフォーム・リノベーションを行う予定の方や、中古住
宅を購入してリフォームを行なおうとしている方に、リフォーム前に第三者の
専門家によるホームインスペクション(住宅診断)をおすすめする理由を紹介し
ます。

築50年超の古民家リフォーム事例

築50年超の古民家リフォーム事例

リフォーム前に第三者によるホームインスペクションが必要な理由

リフォーム工事は新築工事よりも難易度が高くなることが多い

リフォーム工事は一般的には新築工事よりも簡単だと思われがちですが、実はそんなことはありません。

既に存在している建物に手を加えるためには様々な制約があるので、事前の調査が非常に重要になります。

建物の現在の状態や構造、プランなどに応じて最適な改修計画を提案するためには、リフォーム業者の技量   が問われることになります。

一方で、リフォームやリノベーションの対象になる建物は、すでに完成後何年か

経過していることがほとんどです。

築年数が経過した建物は、どうしても経年劣化が進行している箇所や不具合が

発生していて早急に補修が必要な箇所がある可能性が高くなります。

また建築された時期によっては、耐震性能や断熱性能などが現在の基準よりも

劣っていることが多いといえます。

これらのことをリフォーム前の調査によって事前に把握しておくことで、実施

するリフォーム工事に併せて補修する、壁の内部に筋違を入れる、構造用合板

で補強する、断熱材を入れるといった工事を比較的ローコストで行うことが可

能になります。

また浴室をリフォームする際にシロアリ被害が見つかったとしても、工事を依

頼したのが設備会社であれば、シロアリの駆除や被害を受けた部分の補修工事

が行われないなどといったことが起こる可能性があります。

事前に専門家による住宅診断をきちんと行っておけば、こうしたことも避けら

れるでしょう。

リフォームを行う際には、建物の安全性確保も重要なポイント

リフォーム前の現地調査では、建物の構造上主要な部分の安全性が確保されているかどうかをあらかじめ確認しておくことが大切です。

特に間取り変更のリフォームや間仕切り壁の撤去等を行う場合には、リフォーム後の安全性などを事前にきちんと検証しておかなければなりません。

通常はリフォーム会社でも事前に検証を行いますが、利害関係のない第三者の専門家の意見を聞いておくとより安心です。

さらに専門家による調査で建物全体の現状の問題点を把握しておくことで、リフォームプランの適切な予算配分や工事の優先順位などもしっかりと見極めることが可能になります。

したがって限られた予算の中でどこをどのように変えていくのかを決めるためには、客観的な第三者による診断結果をもとにすることが大切です。

リフォームでは解体してから問題点が見つかることもある

リフォーム工事ではどんなに詳細な事前調査を行ったとしても、解体してから問題点が見つかることがあります。
解体後に問題点が見つかった場合でも、それがきちんとリフォーム会社から施主に伝えられて対応策が提案されれば良いのですが、最初から予定にない工事はやらなくても良いと勝手に判断してしまう業者も少なくありません。
実際に施主が問題に気付かないままで工事が終了してしまうこともあります。

結果的に建物の耐久性や耐震強度にも大きな影響を及ぼすことがあるので、できるだけ第三者のホームインスペクターに着工前と解体後の現場を確認してもらうことをおすすめします。

専門家によるホームインスペクションについてはこちら

『かめだの部屋』住宅診断士・ホームインスペクター 亀田