中古マンションを購入してリフォームする際に知っておくべきこと
近年では30代の若い人達を中心に、利便性の高い立地の中古マンションを購入して自分達のライフスタイルに合わせてリフォームする方が増えています。
しかしマンションリフォームにはマンションごとに特有の注意事項があるので、これを事前に知っておくことが大切です。
マンションリフォームの注意点
一戸建て住宅の場合には、建築基準法や各条例の範囲内であれば個人の判断で比較的自由にリフォームすることができます。
しかし分譲マンションには建築基準法や各種条例のほかに、「区分所有法」や「管理規約」といったマンション特有のルールがあり、これを遵守しなければいけません。
このルールによって、一般的にマンション住戸内の「専有部分」は自由に改修することができても、外壁や外廊下などの「共用部分」は個人の都合で改修することはできません。
ただしたとえ住戸内であっても、その線引きが微妙な部分があります。
リフォームできる箇所とできない箇所
住戸内であっても改修できない箇所には、構造壁、床スラブ、縦配管(共用配管)、セキュリティー設備(火災報知器等)、防火戸、玄関ドア、サッシなどがあります。
そして玄関ドア内側の塗装や錠、窓ガラス、バルコニーのデッキ敷きなどは、共用部分であっても条件付きで改修することが可能になります。
また水道メーターや竪管との継手以降のスラブ上の横引き配管は専有部分と見なされますが、スラブ下の横引き配管は共用部分と見なされるのが一般的です。
しかし築年数が古いマンションの中には管理規約に専有部分の改修に関するルールが一切ないこともあるので、注意が必要です。
リフォーム開始後に見つかる問題点もある
そしてスケルトンリフォーム(一度構造躯体のみの状態にして、間取りから造り直す大掛かりなリフォーム)を行う際には、工事中に躯体にひび割れなどが見つかった場合に、管理組合が補修費用を負担するケースや区分所有者が補修費用を負担するケース、区分所有者と管理組合が費用を折半するケースなどがあり、マンションごとに異なります。
また、撤去できない耐力壁が室内に存在していたり(壁式構造のマンションの場合)、既存の竪管の位置(パイプスペースの位置)などからキッチンや浴室、トイレなどの水回り設備の位置が制限されてしまったりすることも少なくありません。
さらにはマンションには電気やガスの容量にも一戸あたりの上限があるので、自由に電気機器やガス機器を選ぶことができなかったり、床暖房や空調機器を新たに設置するにも制限があったりします。
ほかにも管理規約で床仕上げ材の防音レベルに制限があったり、構造躯体に釘やビスを打つことが禁止されていたりすることもあります。
こうしたことを知らずに事前にしっかりとした調査を行うことなく中古マンションを購入してしまうと、購入後に自分が思い描いていたリフォームができなくなってしまうことがあります。
中古マンションを購入してリフォームする際の注意点
これらのことから中古マンション購入後に自分が思い描いている理想のリフォーム像がある場合には、物件を購入する前にそれが実現可能なのかどうかを調査しておくことが重要です。
しかし不動産仲介会社の社員は建築のプロではないので、こうしたことまで期待することはできません。
そのためあらかじめリフォーム会社に現地調査を依頼するのも良いのですが、リフォーム会社ではなかなか物件の購入前に真剣に調査を行ってくれることはありません。
したがってできればマンションリフォームに精通したホームインスペクターに依頼して、希望するリフォームの可否と併せて、物件の劣化具合、欠陥の有無、他に改修工事が必要な箇所などを見てもらうことをおすすめします。
また必要に応じて、管理規約の調査や管理人へのヒアリングなどを依頼することもできるでしょう。
物件を購入する前の建物の構造や管理規約等の調査が不十分だったために、「自分が思い描いていたリフォームができなかった・・・」ということにならないようにするためにも、インスペクションを上手に活用してもらいたいと思います。
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『かめだの部屋』住宅診断士・ホームインスペクター 亀田