ホームインスペクションのデメリットとは?

ホームインスペクションとは、主にすでに完成している住宅、または人が何年も居住していた住宅について専門家が調査を行い、消費者がその住宅の価値を判断するための情報を提供するものです。

※NPO法人 日本ホームインスペクターズ協会「ホームインスペクションマニュアル」より

中古住宅を売買する際にホームインスペクションを行っておくことは買主の不安を解消するばかりでなく、取引後のトラブルを避ける上で売主にとっても有益といえます。

したがってホームインスペクションの最大のメリットは、安心して不動産売買ができるようになることといえるでしょう。

しかしホームインスペクションにはデメリットも存在しています。

知らずにいて後悔することにならないように、今回はホームインスペクションのデメリットについて紹介します。

ホームインスペクションのデメリットとは?

ホームインスペクションのメリットは対象の住宅を専門家が調査・診断することで、住宅の劣化度合いや施工不良等の欠陥の有無、改修すべき箇所や時期などを物件の取引をする前に依頼者が知ることができる点にあります。

したがって国が推進している中古住宅の流通を活性化させるためには、欠かすことができないものとされています。

もともとは中古住宅の流通が盛んな欧米のスタイルを真似たものですが、国内でも2013年6月に「既存住宅インスペクション・ガイドライン」が策定され、2018年4月には宅建業法が改正されて不動産売買を仲介する不動産会社にインスペクション(建物状況調査)のあっせんの有無の説明を義務付けています。

建物状況調査の結果の概要
宅建業法上の建物状況調査報告書の例

ただし媒介契約時や売買契約時に単に建物状況調査の説明が義務付けられただけで、実際に調査を行うことが義務付けられたわけではないので注意が必要です。

また宅建業法上説明が義務付けられている既存建物状況調査とそれ以外のホームインスペクションとでは、調査内容が多少異なる(一般的にホームインスペクションの方が、調査項目が多い)ので、その違いを良く理解しておく必要があります。

さらにホームインスペクションにはデメリットも存在しています。

主なデメリットは以下の3つです。

・費用と時間がかかる

・インスペクションを行っても全ての瑕疵が発見できるわけではない

・売主の同意が得られないことがある

ひとつずつ詳しく説明していきましょう。

1.費用と時間がかかる

ホームインスペクションを実施するためには、費用がかかります。

費用の相場は調査を依頼する業者や物件の規模によって異なりますが、延べ床面積が30~40坪(約100~130㎡)くらいの住宅の場合でおよそ5~7万円程度の費用がかかり、一戸建住宅の床下や小屋裏の進入調査を併せて行う場合には9~12万円程度になります。

調査にかかる時間はおよそ3時間程度で、床下や小屋裏への進入調査を行う場合にはさらに1~2時間程度余分にかかります。

稀にこの間に、他の方が先に物件を購入してしまうことがあるのもデメリットといえるでしょう。

2.インスペクションを行っても全ての瑕疵が発見できるわけではない

中古住宅を売買する際に行なわれるインスペクションは、基本的には目視により行われる非破壊検査です。(一次診断のレベル)

一部専門の調査機器を使用することがありますが、壁を剥がして内部を確認したり、屋根に上って調査したりすることはありません。

調査範囲はあくまでも現場で足場を組むことなく歩行その他の通常の手段により移動できる範囲となっています。

業者によっては様々な工夫を凝らして可能な限り調査できるよう努力していますが、家の隅々まで残すことなく調査できるわけではありません。

したがって壁の内部や基礎の配筋の様子などは目視することができないため、全ての瑕疵が発見できるとは限りません。

3.売主の同意が得られないことがある

物件の購入希望者から売主にホームインスペクションの申し入れをした場合に、売主がその依頼を断わってしまうことがあります。

インスペクションを行わないと必ずしも物件が売れないというわけではないので、売主が「粗探しをされて値引きを要求されては困る」と考えてしまっても不思議ではありません。

したがって買主がどうしてもその物件を購入したいと思うのであれば、インスペクションを行わずに売買契約を取り交わすことになります。

売主にインスペクションの実施を拒否されてしまった場合には・・・

物件の購入希望者がインスペクションを行いたいと申し入れても何らかの事情で売主に断られてしまったら、自分で実際の建物を見て購入の可否を判断するしかありません。

その際の注意点や必ず確認すべきポイントなどについては、次回の記事で詳しく紹介させていただきます。

専門家によるホームインスペクションについてはこちら

かめだの部屋 住宅診断士 亀田 融