住宅を購入する際には床下と屋根裏の点検口の有無を必ず確認しよう!
完成済の建売住宅や中古住宅を購入する際には引き渡し後に後悔しないようにするためにも、契約する前に床下や屋根裏の点検をしっかりと行っておきたいものです。
床下や屋根裏の点検を行うことで、水漏れやシロアリ被害、基礎のひび割れ、雨漏りなどの比較的補修費用が高額になる不具合の有無を事前に確認することができるからです。
また土台や大引きなどの床組みや柱・梁・母屋などの小屋組みの劣化状態を把握できるばかりでなく、床下や屋根裏の断熱材の施工状況、接合金物の取り付け状況などを確認することもできます。
したがって住宅購入前のホームインスペクションでは、床下と屋根裏の点検は必須事項となっています。
しかし床下や屋根裏の状態は、点検口がなければ非破壊で確認することはできません。
そのため点検口がない場合には、引き渡し前の住宅診断では床下や屋根裏の点検は省略されてしまうことになります。
そして住宅購入後にメンテナンスや定期的な点検を行う際にも、点検口の有無が非常に重要になります。
点検口は設置義務があるのか?
点検口は必ずしも設置しなければならないものではありません。
(フラット35を利用して建てられた住宅や長期優良住宅では点検口の設置が義務付けられています)
そのため雨漏りが疑われるために屋根裏の状況を確認したいと思っても、天井点検口がない場合には天井の一部を解体することにもなりかねません。
当然その分の工事費用が余分にかかってしまいます。
現在、多くの住宅会社は新築時に床下や屋根裏の点検口を設置しています。
点検口をきちんと設置することで、建築してからも自社の建物をしっかりと点検していくことをアピールしているのです。
反対に点検口を設置しない住宅会社は、建物の維持管理に対する意識が著しく低いといえるでしょう。
このように点検口は建築後に住宅の点検を行うために必要なものであり、もしもの際の対応にも欠かせないものです。
しかし中には不具合を隠ぺいするために、住宅を売りに出す際にあえて点検口を塞いでしまう悪質なケースもあるので注意が必要です。
したがって新築・中古に関わらず、住宅を購入する際には事前に点検口の有無を確認しておくことが大切です。
普段は建築に関わることがない一般の方にとっては、床下や小屋裏の点検口がなくても特に気に掛けないことが多いので要注意です。
点検口の種類と設置場所
点検口は通常、最上階の天井と1階の床に設けられています。
天井点検口は一戸建住宅の場合には最上階の収納内(押し入れ内)の天井に設置されていることが多く、押し入れ内の天井の一部が蓋の様になっていて、これをずらすことで屋根裏の状況を点検できるようになっています。
【天井点検口の例】
また近年の住宅の多くは浴室がユニットバスになっているのでユニットバス内部にも天井点検口が設置されていますが、この点検口は主に換気扇や換気乾燥暖房機を点検・メンテナンスするためのものになります。
そして浴室の天井裏のスペースは狭くて人が入っていけないことがほとんどなので、これだけでは不十分です。
一方、床下点検口は1階の台所や洗面所に設置されていることが多く、床下収納としての機能を併せ持っていることが一般的です。
点検口のサイズは60cm×60cm以上が望ましいといえますが、最低でも45cm×45cm以上は必要です。
私たちがホームインスペクションを行う際には、これらの点検口から覗き込んで床下の様子を確認したり、ここから床下に侵入して詳細な調査を行なったりします。
また万一床鳴りなどが発生した際にも、点検口から床下に侵入して床鳴りを修理することも可能になります。
【床下点検口の例】
左側の通常の床下点検口のほかに、床下収納庫を兼ねているもの(右側の画像)が多いといえます(中の収納ボックスを取り外すと床下の点検が可能になります)
点検口は単に不具合の有無を確認するためのものだけでなく、建物を健全な状態で維持管理していく上でも不可欠なものになります。
その他では戸建中古住宅を購入する時に既存住宅売買瑕疵保険に加入する際にも、原則として床下や小屋裏の状態を確認する必要があるので、点検口がなくて確認することができない場合には不適合とされてしまいます。
したがって点検口は非常に重要です。
普段はあまり目にとまることがない設備ですが、住宅を新たに購入する際には必ずチェックしておくべき項目といえます。
専門家によるホームインスペクションについてはこちら
かめだの部屋 住宅診断士 亀田 融