住宅の不具合調査は誰に依頼すれば良い?
「ホームインスペクション」の主な目的とは、「すでに完成して人が何年も住んでいた住宅について購入希望者がその価値を判断するための情報を提供すること」にあります。
住宅の劣化具合を専門家としての立場から主に目視で詳しく調査して、買主が購入しようとしている住宅がどの程度傷んでいるのか、早急に補修が必要なのかどうかを判断する手助けを行います。
しかし築浅の住宅でも新築時の施工の不具合が隠れているケースもあるので、築浅だからという理由でインスペクションが不要ということはありません。
そして私たちホームインスペクターは、時々住宅の所有者から不具合の原因調査や補修工事の立会検査、施工不良がないかどうかの検査などを依頼されることもあり、こうしたご要望にも対応可能なインスペクターも多数存在しています。
そこで今回は住宅の不具合調査、欠陥住宅の検査についてご紹介します。
建物の不具合調査の対象と主な不具合事例
調査の対象となるのは主に中古住宅ですが、建築後1年未満の未入居物件(新築住宅)も含みます。
また建物の構造(木造、鉄骨造、RC造等)や戸建て、アパート、マンションなどの用途についてもインスペクターによって得意・不得意があり、対応の可否が異なるのが一般的です。
不具合調査の事例としては建築中の施工不良・欠陥調査の他に、壁・床・柱の傾き調査(地盤沈下の疑いを含む)や基礎・外壁等のひび割れ調査、雨漏り調査、漏水調査(水漏れ調査)、カビ調査、シロアリ調査などがあります。
欠陥・不具合の原因を調査すると共に、依頼主のご要望により補修工事の立ち合いや補修工事完了後の検査にも対応しますが、補修工事自体を行うことはないのが一般的です。(中には所属している建築会社が補修工事を請け負っている場合もあります)
また調査は建物の所有者、アパートのオーナーなどから依頼されることがほとんどですが、稀に建築業者や不動産業者から調査を依頼されることがあり、その場合には所有者からの同意を得た上で調査を行います。
不具合調査の実例
次に紹介するのは引き渡し直後に施主と建築会社との間でトラブルが発生して建築会社から第三者の立場で建物調査を依頼されたケースですが、工事中の施工不良がいくつか見つかった事例になります。
建具枠が垂直に設置されていなかったため、建具の開閉に支障をきたしていた事例です。
建具の建付けが悪い箇所は家の中でここだけであったため(床の不陸等もありませんでした)、地盤沈下によるものではなく、施工不良が原因と判断しました。
ユニットバス下を基礎断熱で施工するのであればユニットバス下の点検用に断熱材で蓋をしなければなりませんが、何らかの原因で断熱材に穴が開いてしまっていたためユニットバスの床下に外気が入り込んでしまう状態でした。
そのため冬には冷たい外気の影響を受けてユニットバス内部の室温が低下するため、ヒートショックの原因になります。
これらのケースでは第三者の建物調査(費用は建築会社が負担)の結果を受けて早急に建築会社が是正工事に着手したため、特に大きなトラブルに発展することはなく無事に施主との関係を改善することができました。
また施主は基礎に生じているヘアークラックを気にされていましたが、ひび割れの位置や幅、方向などを確認した上で構造上問題のあるひび割れではないことをお伝えしたところ、納得していただくことができました。
今後のアフターメンテナンスのことを考慮すると建築会社との信頼関係が大切
住宅に不具合などが発生すると、所有者は当然ながら不安になってしまうものです。
次第に建物のあちらこちらに欠陥があるのではないかと疑ってしまうことにもなりかねません。
築後間もない住宅であれば尚更のことなので、早急に対応することでお客様の不安を解消することができます。
そして不具合をきちんと是正するためには、住宅所有者と施工会社との信頼関係が非常に重要になります。
ホームインスペクション(住宅診断)は主に個人向けのサービスですが、多くのインスペクターが建物の不具合の解決に向けて積極的な対応を心掛けている建築会社や不動産会社(売主)からのお問い合わせも受け付けています。
消費者と住宅供給者との良好な信頼関係の構築、関係修復を目指すためにも、まずは中立的な立場に立ったホームインスペクターに相談してみることをおすすめします。
場合によっては専門機材を使った詳細な建物調査を行うことも可能で、調査に部分的な解体工事が必要になる場合にも建築会社と協力しながら調査を行うことで、スムーズに調査をすすめることができるようになります。
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『かめだの部屋』住宅診断士・ホームインスペクター 亀田