一戸建住宅(在来軸組工法)を購入してリフォームする際に知っておくべきこと
前回は中古マンションを購入してリフォームする際の注意点を紹介しましたが、今回は一戸建住宅を購入してリフォームする際に知っておくべき点について紹介します。
一戸建の中古住宅を購入してリフォームするケースとは?
中古の一軒家を購入してリフォームするケースには、建物に地盤沈下や構造的な不具合、雨漏り、シロアリ被害などの致命的な欠陥がない場合や、接道要件などの法的な制約があるために建て替えができないケース、既存不適格で建て替えた場合には面積が小さくなってしまうケース、建物の文化的または歴史的価値が高いケースなどがあります。
近年では築50年以上100年近く経過した古民家を購入後にリフォームして住むケースも珍しくありません。
しかし水回り設備の交換や屋根・外壁塗装、内装の模様替えといったリフォームは別として、間取り変更などの大掛かりなリフォームを行う場合のハードルは決して低くありません。
戸建住宅のリフォームの設計者や施工者にはマンションリフォームとは違って、耐震改修に対するノウハウや建築基準法などの法令遵守が強く求められるためです。
その上、建物の断熱性能などにも配慮しながら、使い勝手やデザイン性を高めなければなりません。
一方、リフォーム専門の会社の中にはデザイン性には優れているものの、一戸建住宅の構造や法的な問題に対処する能力が低い会社が少なくないので注意が必要です。
中古の一戸建住宅を購入後に大規模リフォームする場合の注意点
中古の一戸建住宅を購入して購入後に大掛かりなリフォームを行なおうとする場合には、法規と耐震性能が最も重要な購入の判断基準となります。
たとえ売買金額が安くても、違法建築の物件や耐震性能が低い物件に手を出すのは非常に危険です。
なぜなら違法建築の場合には購入後に大掛かりなリフォームを行うことはほとんどできないと考えておいた方が無難であり、耐震性能が低い物件の場合には高額なリフォーム費用がかかってしまうからです。
違法建築かどうかを確認する方法
そして違法建築かどうかを確認するためには、建築確認申請書や検査済み証などで確認する方法がありますが、築年数が古い物件の場合にはこれらの書類を売主が紛失してしまっていることも少なくありません。
また書類があっても無申請の増改築を経て、現状は建ぺい率や容積率、高さ制限などが違法となっていることもあります。
そこで購入前に専門家に現地調査を依頼して、主要構造部の状態をできるだけ正確に把握した上で、増改築の形跡がないかどうかなどを確認しておくと良いでしょう。
専門家による建物調査について
ただし通常のホームインスペクションと呼ばれる業務では、診断対象となる住宅が各種建築関連法規に適合しているかどうかや、残存している設計図書どおりに建物が完成しているかどうかなどについては調査項目となっていません。
したがってこれらの調査を依頼する場合には別料金になります。
また耐震性能については、住宅購入前のホームインスペクションでは地盤沈下(壁または柱、床の傾きの有無)や基礎の傷み具合、外壁の大きなひび割れの有無などが判断の分かれ目になります。
これらに不具合がなければ、とりあえず問題なしと見なされます。
したがって中古住宅を購入後に大掛かりなリフォームを計画しているのであれば、少なくともこれらの調査を購入前にきちんと行なっておく必要があるといえるでしょう。
ただし床下や屋根裏の点検口がない場合には、調査できる項目がリフォーム時には解体してしまう床・壁・天井等の仕上げ部分の確認に留まってしまうので、調査する意義が薄れてしまいます。
売主の許可が得られれば、和室の畳下の板材を一時撤去したり2階の押し入れ内部の天井ベニヤ板を撤去したりして点検することも可能なので、売主に交渉してみるのも良いでしょう。
購入後のリスクをできるだけ抑えるためにも、はじめから妥協しないことが大切です。
中古住宅の購入後にすべきこと
中古住宅購入後にはリフォームの設計や施工を行なう業者に依頼して、詳細な建物調査を行います。
場合によっては天井や壁を一部解体して隠れた部分の確認を行い、既存の状態を図面化します。
そして設計時には単に使い勝手が良くてデザイン性が高いプランを作成するだけでなく、リフォーム費用を検討しながら安全性・居住性を高めるための耐震設計、断熱設計と併せて行うことが大切です。
ただし新築住宅並みの性能水準に改善しようとすると、建て替えるのと同額以上の費用がかかってしなうことにもなりかねないので注意が必要です。
またリフォーム工事では解体して初めて見えてくる欠陥や不具合もあるので、予算には常に余裕を見ておく必要があります。
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『かめだの部屋』住宅診断士・ホームインスペクター 亀田