1981年~2000年の中古住宅のはなし。
こんにちは千葉市の住宅診断・ホームインスペクション事務所 アフリスペックです。
中古住宅売買の中で一つの大きな基準となるのが、『新耐震基準の物件かどうか』ということです。この新耐震基準物件とは1981年~現在までを指し、これに適合するものは一応耐震性があるものとして取り扱われ、様々な税制優遇等を受けるための基準にもなっています。
しかし、この耐震基準について、2000年を境に法律が大きく変わっているのをご存知でしょうか。
そしてその法律が変わるきっかけとなったのが、阪神淡路大震災です。
実は制度上ひとくくりとなっている耐震基準は、大きく2つの制度に分かれていたのです。
不動産屋さんからこんな話を聞いたことはありませんか。
『この物件は新耐震基準で建てられた物件だから大丈夫ですよ!』
安心に聞こえますが、実はまだ不安が残っているのです。
その法律変更の効果というのがどの程度なのかというと、記憶に新しい熊本地震で証明されました。
法律改正の効果
以下のデータをご覧ください。(熊本県益城町)
熊本地震の被害状況を年代毎に分類し、その被害率をまとめたものです。(国土交通省データより)
① 旧耐震基準 (昭和56年(1981年)5月以前の確認申請物件)
無被害 | 5.1% |
軽微・小破・中破 | 49.1% |
大破 | 17.5% |
倒壊・崩壊 | 28.2% |
② 前期 新耐震基準(昭和56年(1981年)6月~平成12年(2000年)5月)
無被害 | 20.4% |
軽微・小破・中破 | 61.2% |
大破 | 9.7% |
倒壊・崩壊 | 8.7% |
③ 後期 新耐震基準 (平成12年(2000年)6月以降)
無被害 | 61.4% |
軽微・小破・中破 | 32.6% |
大破 | 3.8% |
倒壊・崩壊 | 2.2% |
簡単に言うとこういうことです。
『被害を受けずに済む確立が全く異なる』
②③は制度上は耐震性有とひとくくりにされていますが、実際はまったく別物の法律ということです。
1981~2000物件の被害率は約8割
1981年~2000年の物件の8割は今回の地震の影響で何らかの被害を受けています。
2000年6月以降の物件についてはその率が4割に軽減され、更には新築時耐震等級3レベル(建築基準法の1.5倍の耐力)の物件についてはその確率は1割強まで減少し、倒壊・大破についてはみられなかったというデータがあります。
無被害で済まなかった物件には修繕が必要
倒壊・崩壊の危険性についてはもちろん注目すべき事項です。
その他に無被害で済むかどうかという点についても注目しなければなりません。
当たり前のことですが、『無被害でない』ということは『何かしらの被害がある』ということです。
被害があるということは、継続的に住もうとしたときに何かしらの補修が必要になります。
もちろん費用が掛かるのと、現在の職人不足が原因で修繕までの期間が長くかかることも想定されます。
木造住宅は水に起因する不具合が多く発生しますので、長期間の放置は結果的に建物全体の寿命を知事めることにほかなりません。
また、千葉県でいうと千葉市や船橋市、市川市など住宅が密集しがちな地域については更に修繕費用がかさむ可能性もあります。
どのようにしたら良いか
もちろん耐震補強をおすすめします。
しかし、それには多額の費用が掛かることを想像することは難しくないと思います。
アフリスペックでは耐震診断~耐震補強までのステップを最適化し、様々な制度を活用しながらなるべく費用を掛けずに安心を得る方法のご提案が可能です。もちろん物件特有の問題がある場合には対象外となることもありますが、物件選びの基準として知っておいて損はありません。
制度活用にはすこし難解な部分や手続きの注意事項等が含まれておりますので、物件のご購入前にご相談いただくことがベストです。
耐震基準適合証明書の活用や、既存住宅売買瑕疵保険の活用、その他制度を組み合わせてのご提案も可能です。
いかがでしょうか。
耐震性有と認められている物件がこのような状況に陥る可能性があります。
デメリットばかりを申し上げましたが、上手に購入すればとても良い買い物になります。
そこが中古住宅の良いところであり、難しいところでもあります。
アフリスペック一級建築士事務所は中古住宅の購入を手助けするために、様々な制度対応をご提案いたします。
お気軽にお問い合わせください。
千葉の住宅診断・ホームインスペクション事務所 アフリスペック一級建築士事務所でした。
それではまた。