中古住宅購入の際にはシロアリ被害の有無のチェックを怠らないこと!

中古住宅を買うときに気にすることは?

ホームインスペクションとは、専門家が主に目視(一部計測機器を使用します)で建物のコンディションを調査して、その結果を依頼者に報告する仕事です。

中古住宅の取引に際して購入希望者から依頼を受けることが多いのですが、調査する項目は概ね以下の内容になります。

・基礎や構造躯体の状況
・建物、床の傾きの有無
・雨漏りの有無
・給排水管の漏水の有無
・シロアリ被害の有無
・換気扇、給湯器、水栓、トイレ、建具、ドア、窓などの設備の作動確認

他にも接合金物の取り付け状況や屋根・外壁の劣化状況などがありますが、比較的依頼者が気にしていることが多いのがシロアリ被害の有無になります。

シロアリが家の中にいるかどうかは、自分でもある程度であれば確認することができるので、今回はシロアリの点検方法を紹介します。

自分で出来る!シロアリの点検方法

1.屋外の様子を確認する
シロアリが繁殖している場所は、屋内ばかりではありません。
シロアリは木材を餌にしているので、家の周囲に木材が積んであったり建物に立てかけてあったりすると、シロアリの食害を受けていることがあります。
また屋外に設置したウッドデッキなどがシロアリの被害を受けていることも多いので、一度確認しておくことが大切です。

2.玄関廻りを確認する
老朽化によって玄関ポーチのタイル目地に隙間ができている場合には、シロアリの侵入経路になっている恐れがあります。
玄関ポーチのタイル目地の隙間からシロアリが建物内部に侵入すると、玄関ドア周りの柱や土台、ドア枠、玄関框などがシロアリの食害を受けます。
シロアリの食害はパッと見ただけではわからなくても、木材の内部がスカスカになっていることもあるので、手でたたいて内部に空洞があると思われる場合には、売り主様の承諾を得て千枚通しやドライバーなどで刺し、密度を確認する方法もあります。

玄関ドア周りのシロアリの食害の例

3.水回りを確認する
シロアリは湿気を好むので、浴室、トイレ、洗面所、キッチンなどはシロアリが繁殖する条件がそろっています。
特に在来工法の浴室の場合にはユニットバスに比べて防水性が低いので、浴室入口のドア周りや柱、土台がシロアリの食害を受けていることが少なくありません。
特に洗面脱衣室の床がフカフカしている場合には注意が必要です。

4.床下の様子を確認する
キッチンや洗面脱衣室などに床下点検口がある場合には、点検口から覗いて床下の様子をみてみましょう。
床下は基本的に太陽光があたらず湿気が多いため、シロアリが繁殖する条件がそろっています。
特に築年数が古くなるほど床高(地盤面から床面までの高さ)が低い、防湿コンクリートがない、床下換気口が少ないなど、シロアリが好む環境になっています。
更に漏水や結露などによって床下が湿潤状態になると、シロアリにとって絶好の環境といえます。

シロアリは土でトンネルを作って通り道にします。
これを蟻道(ぎどう)といいますが、シロアリを直接発見することができなくても、万一蟻道が見つかった場合にはシロアリが床下に住みついていると考えて良いでしょう。

床下の蟻道の例

シロアリが床下の地盤面から基礎を登ってさらに土台を通って侵入した例です。

5.屋根裏の様子を確認する
床下と比べて軽視しがちですが、実は屋根裏にシロアリが住みついてしまうことがあります。

近年では、乾いた木材の中の僅かな水分でも生育できるアメリカカンザイシロアリの被害が拡大しています。
木材や家具の輸入によって海外から運び込まれたものとされていますが、蟻道を作らず温度変化や湿度の影響を受けにくいといわれています。
被害は建物の下部だけでなく小屋組材にも及ぶので、建物全体に被害が生じてしまいます。
早期発見が難しく駆除方法も確立されていないようなので、注意が必要です。

念のために2階の押し入れの中などにある天井点検口から覗いて、屋根裏の様子も確認しておくと良いでしょう。
直径約1ミリ程度の黄色から褐色の粒状の乾いた糞が見られたら要注意です。

不安があったらプロに依頼しよう!

床下や屋根裏の点検は、懐中電灯さえ用意すれば自分で行うことも可能です。
しかし侵入して建物の隅々まで点検するとなると、無理をせずにプロに任せた方が確実です。

私が以前の勤務先に在籍していた当時、大手不動産会社の仲介で購入した築10年前後の住宅のリフォームを買主様から依頼されて現場調査に出向いたところ、建物のいたるところでシロアリの食害がみつかったことがありました。
完全に修復するにはスケルトンリフォームが必要な状態で、費用は最低でも1,000万円近くかかってしまいます。
当然売り主様や仲介会社とのトラブルに発展しました。
結果的にリフォーム費用は全額売り主様が負担することになりましたが、シロアリ被害は決して軽視することができないことを改めて実感しました。

当時はまだ住宅のインスペクションはほとんど知られていませんでしたが、中古住宅の購入に不安がある場合には、プロの住宅診断を受けることをおすすめします。

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『かめだの部屋』住宅診断士・ホームインスペクター 亀田