ホームインスペクションの費用相場と業者を選定する際の注意点

ホームインスペクション(住宅診断)の認知度が高まると共に、ホームインスペクションを行う業者(個人事業者含む)の数も年々増加しています。

業者が増えれば依頼する人にとってもさまざまな業者を事前に比較検討することができて非常に良いのですが、単純に価格の安さだけで業者を選んでしまうと、依頼してもあまり意味がないことにもなりかねません。

そこでこの記事では、ホームインスペクションの依頼先を選ぶ上での注意点について紹介します。

ホームインスペクションの費用の相場はどれくらい?

ホームインスペクションの相場とは?

建物の延べ床面積が30坪(約100㎡)程度の一戸建住宅のホームインスペクションを行うためには、調査時間が約3時間程度かかります。(ほかに現場までの往復の移動時間がかかります)

料金は5~7万円程度が一般的(地域による違いあり)ですが、この場合には屋根裏・床下の調査は点検口から目視可能な範囲のみになります。

屋根裏・床下への進入調査を併せて行う場合には8~12万円程度になることが多く、調査時間は最低でも4~5時間程度かかってしまいます。(いずれも報告書作成込みの料金)

依頼者にとっては決して安い金額ではないと思いますが、費用の中にはホームインスペクターの人件費のほかに調査機材の購入費や事務スタッフの人件費、広告宣伝費、通信費、事務所の賃料、車両代、会社の利益などが含まれるので、相応のコストといえるでしょう。

ホームインスペクションの依頼先を選ぶ際にはホームインスペクターの報酬の違いに注意が必要!

現在国内においてはホームインスペクションの依頼先が年々増加していますが、インスペクションの依頼はホームインスペクターを数多く抱えた会社に集中している傾向があります。

しかしその場合には、希望の日時に調査してもらえるといったメリットばかりではないので注意が必要です。

所属しているホームインスペクターが社員(月給制)であればそれほど問題はないのですが、下請けのような立場の場合には依頼者から元請会社への支払いが5万円であったとしても、インスペクター本人が受け取る報酬は3万円以下になってしまうことも少なくありません。

これでは当然時間をかけて丁寧に必要な調査を行なったり、わかりやすい報告書を作成したりすることができなくなってしまうのは明らかです。

一日に複数現場の調査を行う必要があるからです。

またホームインスペクションを行っている会社が不動産業者や住宅会社と深い繋がりのある会社だったり、関連会社・子会社だったりする場合もあります。

その場合には住宅診断に不可欠な中立性・第三者性を維持できる可能性は極めて低くなってしまうことが予想されます。

したがってせっかくホームインスペクションを行うのであれば、依頼先を決定する際には十分な注意が必要になります。

会社の規模や抱えているホームインスペクターの人数、知名度などももちろん大切な要素ですが、それ以上に個々のホームインスペクターに適切な報酬が支払われているかどうかをよく見極めることが大切です。

ホームインスペクターを選ぶ際に報酬以外に注意すべき点とは?

ホームインスペクターは、過去に建物の設計監理や施工管理の経験があるという人がほとんどです。

しかし主に木造住宅の設計監理や施工管理を行ってきた人もいれば、分譲マンションや大規模商業ビルなどの鉄骨造、鉄筋コンクリート造の建物の設計監理、施工管理ばかりを行ってきたという人もいます。

住宅のホームインスペクションを依頼する際には、診断する建物と同じ構造の建物の設計、施工管理の経験が豊富な人に依頼した方が良いのはいうまでもありません。

建物は構造躯体によって重要なチェックポイントが異なるためです。

さらに同じ会社のホームインスペクターにも力量に差があるのが普通です。

したがってホームインスペクターを多数抱えた会社に依頼する際には、実際に調査を行うインスペクターはどのような経歴を持つ人なのかを事前に確認しておくことが大切です。

またホームインスペクションは依頼してから調査の実施、報告書の作成、依頼者への報告書提出までに最短でも1週間~10日間程度、通常は2週間程度かかってしまいます。

売買物件の購入希望者の要望でホームインスペクションを行う場合には、この間に別の購入希望者が物件を購入してしまうことがあります。

したがってホームインスペクションの実施から報告書の提出までの期間を必ず確認しておくことが大切です。(できるだけ短期間の方が望ましい)

尚、建物調査が終わった直後に現地で口頭による簡単な結果報告(重大な不具合の有無、早急に補修すべき項目等)を受けることも可能なので、事前に依頼する会社と打ち合わせておくと良いでしょう。

会社によっては報告書の提出を省いたローコストのプランを用意していることがあります。

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かめだの部屋 住宅診断士 亀田 融