業者との打ち合わせ内容は面倒でも全て書面に残す!

住宅の新築工事に限らずリフォーム工事の場合であっても、施工業者との間に毎年数多くのトラブルが発生しています。

住宅工事のトラブルで多くを占めるのは、工期の遅延や業者との取り決め事項の不徹底、施工不良(不具合事象の発生)などです。

公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターによると、2021年度に実施した電話相談「住まいるダイヤル」に寄せられた新築、リフォームに関する新規相談件数は35,040件となり、2020年度から約2割増加しているといいます。

(住宅相談統計年報2022より https://www.chord.or.jp/documents/tokei/pdf/soudan_web2022.pdf )

住宅の相談件数

そしてさらに重大な建築紛争に発展してしまうケースでは、大きく分けると法令違反の建築と、契約内容に違反した建築とに分けることができます。

しかし法令は個人が勝手に変更することができないものであるのに対して、契約内容は当事者同士の合意により決定されるものなので、契約内容の違反は第三者に対して立証するのが非常に困難であるといえます。

そこで今回の記事では、建築工事での打ち合わせ上のトラブルを防ぐための方法を紹介します。

住宅工事のトラブルで発生頻度が高いものとは?

建築工事では、「言った、聞いていない」「事前に説明されていたものと異なる」「こんなはずではなかった」といったトラブルが頻繁に発生しています。

完成してみたら自分の思っていたもの違ったというトラブルは悪質な業者だけではなく、比較的良心的な会社に工事を依頼した場合にも起こり得ます。

住宅会社の方でもこのようなトラブルを未然に防ぐために、多くの会社が打ち合わせの度にその都度「打ち合わせ記録書」を作成して、「いつどんな打ち合わせを誰としたのか」や「最終的にどのように決定したのか」などを記録に残しています。

またメールやファックスなどを使って打ち合わせをした場合にはきちんと記録に残るものの、電話により口頭で打ち合わせをした場合にはそのままでは記録には残りません。

したがってこのようなケースでは、打ち合わせミスによるトラブルが発生する可能性が非常に高いといえるでしょう。

さらには工事完成後に施工業者から高額な追加工事代金を請求されてしまうことにもなりかねません。

打ち合わせミスによるトラブルをなくすためには?

打ち合わせミスによるトラブルをできるだけなくすためには、業者とのやり取りは全て書面に残すことが大切です。

そして電話でやり取りした内容も後で文書にして、忘れずに住宅会社にメールを送信しておきましょう。

このように決定事項や確認事項などを記録に残しておくことで万が一トラブルが発生した際にも証拠になり、住宅会社が虚偽の弁解をするのを防ぐことができます。

現在住宅会社の方でもほとんどの会社が打ち合わせの内容を書面化して記録に残していますが、こうした記録も住宅会社任せにせずに、自分でも文書化しておくことが大切です。

そして打ち合わせ終了後には、お互いに署名しておくようにすると良いでしょう。

さらに打ち合わせ内容を文書化しておくことで、それが住宅会社の営業部門から設計部門、施工部門、下請け会社に伝わっていく過程で漏れてしまうのを防ぐことにも繋がります。

打ち合わせ内容を書面に残しておくメリットとは?

打ち合わせ内容を書面に残しておくメリットは、単に打ち合わせミスによるトラブルを防止するだけではありません。

争いを仲裁する者として最も困ることは、お互いが「言った、言わない」、「伝えた、聞いていない」と主張することです。

私たちホームインスペクターは、工事の注文者や住宅会社から時々こうした住宅トラブルの調査や仲裁を依頼されることがあります。

冒頭でも伝えましたが工事請負契約の詳細な内容は当事者同士の合意により決定するものなので、図面や打ち合わせ記録がなければ明らかな施工不良や関係法令違反でもない限り、第三者が意見を述べるのが非常に困難になります。

したがって工事着工前の打ち合わせ時や工事着工後には、次の点に注意しましょう。

・仕上がりのイメージは写真などを使って具体的に伝え、写真などの資料は残しておく

・打ち合わせ内容は必ず書面にしておく(できる限り相手のサインをもらっておく)

・追加工事が発生した際には必ず事前に見積もり書を受け取っておく

・電話により口頭で伝えた内容は、忘れずに書面にして相手にも渡しておく

これらの書面をきちんと残しておくことで、万一トラブルが発生した際にも第三者の専門家に相談することができるようになります。

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かめだ部屋 住宅診断士 亀田 融