悪質なリフォーム業者の被害にあわないために・・・

東京都は5月31日、杉並区のリフォーム工事会社スマイルホームに対して3カ月間の業務停止命令を行いました。(住宅新報web 2023年6月6日配信)

東京都の調査によると同社の社員が突然消費者宅を訪問し、「屋根が剥がれかけているのですぐに工事をしないと危険だ」、「こんなにひどい屋根は見たことがない」などといった虚偽の説明をして必要のない工事を行わせようとしたことが特定商取引に関する法律において不適正な取引行為とされています。

そして中には営業マン自らが屋根に上がって釘やビスなどを取り外し、屋根が剥がれそうになっているのを偽装する悪質な手口もあったといいます。

これ以外にも突然訪問してきた業者から屋根の修理を持ちかけられてトラブルに発展するケースが急増していて、2022年度の都に寄せられた苦情相談の件数は過去10年で最多の783件(速報値)に達したそうです。

これは高齢者世帯が増加していることに加え、コロナ禍で在宅している人が多くなったことも原因と見て注意を呼びかけています。

しかし悪質なリフォーム業者による似た様な被害は過去にも何度も発生しているので、その手口を理解しておくことが大切です。

屋根修理・屋根リフォームの悪質な業者の手口とは?

悪質な屋根修理・屋根リフォームの業者の手口には次のようなものがあります。

1. やたらと不安を煽る

突然訪問してきた営業マンが「屋根の無料点検を実施しています」などといって屋根の点検を行い(行っているふりをする)、「今すぐ修理しないと危険です」などといって工事を勧誘するのは古くからの悪質な業者の常套手段です。

屋根や外壁は敷地の外からも確認しやすいので、悪質な業者のターゲットになりやすいといえます。

2. 大幅な値引きを提示して契約を急がせる

「本日契約していただければ通常150万円の見積もりを100万円に値引きします」などといって大幅な値引きを条件に契約を迫ります。

まともな業者であればこのような大幅な値引きなどあり得ませんし、そもそも最初に提示した金額が適正な価格ではないことがほとんどです。

3. 火災保険を使って安く工事ができることをアピールする

「火災保険を使えば無料で屋根のリフォームができる」などといって契約しようとするのも悪質な業者が良く使う手段です。

本来火災保険は台風や雪害、雹害などの自然災害による被害を受けた場合に原状回復するための保険なので、それ以外の経年劣化などは保険の対象外となります。

4. 工事代金の前払いを要求される

工事に着手する前に工事代金の全額を支払うように要求された場合には、詐欺の可能性が高いといえます。

このような業者とは契約しないようにした方が無難です。

悪質リフォーム業者の被害にあわないためには?

悪質なリフォーム業者の被害にあわないようにするためには、突然訪問してきた見知らぬ業者に屋根の点検などを絶対にさせないようにすることが大切です。

そしてたとえどんなに安い見積金額を提示されたとしても、決してその場で契約してはいけません。

他の業者にも相見積もりを依頼しましょう。

また普段から自分でも定期的に建物の点検を行って、状況を把握しておくことが大切です。

そして気になる部分があるのであれば、専門家によるホームインスペクション(住宅診断)を行っておくことも有効な手段といえます。

有料にはなってしまいますが、事前に適切な改修時期や、改修方法、改修費用等のアドバイスを受けておくこともできます。

万一被害にあってしまったら?

どんなに注意していたつもりでも相手は悪質な訪問販売のプロなので、詐欺被害にあってしまう可能性はゼロではありません。

ここでは万が一悪質なリフォーム業者と契約してしまった場合の対処方法を紹介します。

1. クーリングオフを利用する

クーリングオフとは、一定期間、説明不要の無条件(消費者からの一方的な意思表示のみで可)で申し込みの撤回または契約を解除できる法制度です。

クーリングオフが可能な期間は、契約書面の交付を受けたときを含めた8日以内とされています。

また契約時に業者から特定商取引法に定められた要件を満たした書面を受け取っていない場合には、たとえ8日を経過していたとしてもクーリングオフすることができます。

クーリングオフを行使した場合には、消費者がすでに支払ってしまった代金は返金され、すでにサービスの提供を受けている場合であっても代金を支払う義務はありません。

郵便局の窓口で発信日が証明できる内容証明や簡易書留・特定記録郵便などを使用して、業者に契約解除の通知を送ればクーリングオフの手続きが完了します。

2. 専門機関や専門家に相談する

今後の対応について詳細なアドバイスを求めるのであれば、国民生活センターや住宅リフォーム・紛争処理支援センターに相談する方法があります。

(住宅リフォーム・紛争処理支援センター 住まいるダイヤル https://www.chord.or.jp )

いずれも原則無料で相談することが可能で、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの場合には相談内容によっては弁護士や建築士と面談することができます。

専門家によるホームインスペクションについてはこちら

かめだの部屋 住宅診断士 亀田 融