床下の進入調査で思うこと。
床下の進入調査で思うこと。
仕事柄、床下へ潜ることが多いのですが、ベタ基礎でない(地面にコンクリートがない)建物の調査も多くあります。
高経年の建物の流通が増えてきているのか、このところベタ基礎でないたてものの調査比率が多いように感じます。
弊社の住宅診断(認定インスペクション)は床下・小屋裏への侵入調査を標準で採用しています。
こんにちは、千葉の住宅診断、ホームインスペクション事務所アフリスペック一級建築士事務所です。
今回は床下調査についての話。
ベタ基礎だから安心??
近年、住宅の基礎はベタ基礎を標準施工としているハウスメーカーも多く、営業マンがそのメリットを主張することが多いので、何だか『ベタ基礎じゃないとダメ』のような雰囲気になっているように感じます。
本当にそうなのでしょうか?
ベタ基礎が一般的になる前は布基礎が主流でした。しかし現在でも布基礎を採用しているハウスメーカーは多くあります。
ベタ基礎が良い、布基礎が悪いというわけではなく、布基礎でも強度上の計算がされていれば問題はありません。逆に言うとベタ基礎でも何も考えずに作っていると意味がないということです。
地盤面からの湿気等、防湿対策は講ずるべき
布基礎でもきちんと設計されていれば大丈夫と言いました。
しかし、防湿対策についてはやっておいた方が良いと思います。
防湿対策としては、床下に防湿シートを施してあるものあります。しかし、この防湿シート自体も劣化していることがよくあります。新築当初はそれでも良いのかもしれませんが、メンテナンスの際にズレてしまったり、破れてしまったり。もちろん、劣化も見られます。
防湿(地面からの湿気を防ぐ)の意味が年数とともに失われてきているのですね。
木造住宅に於いて、床からの地面からの湿気を上げないことはとても重要です。湿度の高いということは、結露発生のリスクが高いということです。
その結露が酷いと最悪の場合、シロアリ等の被害を呼び込む原因になりかねません。シロアリはすぐ近く普通に生息していますので、対岸の火事では無いのです。
防湿措置をしないということはある意味シロアリを呼び込みしているようなものかもしれませんね。
ホームインスペクションで絶対に外せない床下点検
ホームインスペクション(住宅診断)を行うときには床下の進入調査・点検はやるべきと思います。
床下の点検はシロアリの被害だけでなく様々な事象を発見することが出来ます。外から見た基礎のヒビ割れが中まで貫通しているのか、配管からの水漏れは無いか、断熱材が落下したりしていないか等様々な事象に遭遇します。
特に断熱材の落下は比較的多く遭遇する事象で、『断熱性が下がって少し寒いだけでしょ?』と思われるかもしれませんが、断熱性が下がると言うことは、冬場であれば室内側での床の表面温度が下がることを意味します。
つまりその部分に於いてはサッシが結露をするように、床に於いても結露が発生し易く、その結露水が木造を湿潤な状態にする可能性があるのです。
また夏場に於いては逆ですね。
最近の猛暑に伴い、熱中症対策としてエアコンの使用が推奨されています。するとどうでしょう。床下の湿潤な空気が冷えた床に触れると、そこで結露が発生する可能性があります。
やはり、防湿対策を施し、床下の湿度を下げて置くということは重要です。
さらに続く建物の劣化の連鎖。
湿度が高く、木部の湿度が上がってくると…シロアリがやってくるのですね。
シロアリは湿潤な状況を好みます。(最近ではアメリカカンザイシロアリなど外来種もいますが…。)
多少のシロアリ被害では問題ありませんが、放置しておくと徐々に構造部分の被害に連鎖していきます。
木造住宅は一つの事象が他の事象連鎖的にを引起す可能性が高いものです。
いつの間にやら断熱の話になってました。
床下の話をしてきたつもりが、いつの間にか断熱やシロアリの話になってきてしまいました。
特に問題が多いのが、2000年前後に建てられた建物。耐震基準の変更や、高気密高断熱住宅の普及に伴い、急激に様々な課題が浮き彫りになり、品確法と言われる法律が施行され、各住宅メーカーの品質競争になったものの、施工者がそれについてきていない状況でした。
住宅メーカーだけが勉強しても、下請けの大工さんとかがついていけなかったんですね。この年代には多くの間違った施工が見受けられます。新しい工法が登場した時期はまだまだその正しい施工方法が浸透せず、間違った施工がされていることが多いのです。
なので、床下の診断は必須です。
千葉の住宅診断・ホームインスペクション事務所アフリスペック一級建築士事務所でした。