建売り住宅(分譲住宅)は『安かろう悪かろう』なのか?(建築編)
こんにちは、住宅診断・ホームインスペクション専門事務所 アフリスペック一級建築士事務所です。
最近は住宅購入前または契約後、引渡し前の方からのご依頼で、建売り住宅(分譲住宅、ローコスト住宅)の内覧会前の調査・診断を依頼されることが多くなってきています。
しかしなぜか建売住宅のイメージは悪いのです…。ハウスメーカーと違って、モデルハウスなどが少ないのもあるかもれませんね。坪数的にも現地的な大きさで建てていくので、モデルハウスを作る意味もないのかもしれませんが。
これから建売り住宅をご購入するつもりの方の新しい生活が幸せなものになるようにこの記事を書いていますので、ぜひお読みください。
分譲住宅業者のイメージは??
日本にはパワービルダーと呼ばれるローコスト住宅の分譲住宅業者が多く存在します。年間に何万棟と建てられている分譲住宅。その中でも上位ランキングを独占している建売り・分譲業者は テレビCMでは有名な歌舞伎俳優さんのイメージもあり、そんなに悪いイメージは受けないのではないでしょうか?
品質の悪い建物を提供しているのでは?断熱性・耐震性は大丈夫?建売り住宅の注意点は?
物の流通には問屋がいたり、販売店があったりとその中間マージンが気になるところですよね。そこを何とかカットして『安くて良い物を買いたい』これが消費者の自然な心理かと思います。
分譲住宅業者についてはどうでしょう?建物が安いから悪い物なのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
実は年間150棟以上の分譲住宅を扱う業者には通常の分譲住宅に比べて高い品質基準が求められます。これをトップランナー基準といいます。 これはエネルギー政策のひとつで、外壁や窓等の断熱性能などを通常に比べて良いものにしなければいけないということです。
断熱性能を上げることで、エアコンなどの効きが良くなり、電気代を節約、つまり二酸化炭素(Co2)の削減効果が期待できます。大量の住宅を供給する側には、環境に配慮しなければならない義務が課されているんです。法律の基準以上の品質のものを提供しなければならないという決まりなんです。
耐震性に於いても、ハウスメーカーの注文住宅等と同様に金物検査等が行われますのでひとまず同じ土俵にあると考えて良いのではないでしょうか。
ただし施工品質については様々ですのでそこは注意すべきです。
じゃあ、価格が高くなるんじゃないの…?
そうですね、通常の規模で経営をしている住宅会社であれば費用がかかるかと思いますが、パワービルダーはその棟数が圧倒的に違います。
物は大量に買うと安くなるのはイメージが付くと思いますが、それと一緒です。スケールメリットを生かして大量に物を購入する代わりに低コストでの仕入れが可能になります。だから安くなるのです。
ここまでは理解が出来るのではないでしょうか?
想定以上の驚きの安さになっているのはなぜ?安すぎて不安…。
不思議ですよね。消費者としてはわかります。
でもそこにも建物を安くできる仕掛けがあるのですね。
答えはやはり『何万棟と建てているから』
だから安いのです。
何万棟と建てるために、かなりのハイスピードで工事を進めていきます。
その回転を高めていくために、売れない物件は価格を下げてでも売り切ります。そして建物を現金化(資本化)していくのです。
その先にあるのはこういった流れです。
資本を元に住宅を建てる ⇒ 今度は儲かるかも… ⇒ 売れない ⇒ 値引きして価格を下げる ⇒ また建てる⇒ 繰り返し。
いかがでしょう?どのタイミングが一番お得になるかわかると思います。
でも人気のエリアは建築前の状態や建築条件付きの土地の状態ですぐに完売してしまうのです。その辺りは難しいところですね。
なので、建物が悪いから安いというわけではないのでご安心を。
なぜそんなに売り急ぐのか?
住宅建築に掛かるものの大半は人件費。
人がいないと住宅は建ちません。
人件費を安くするためには…そう、やはり大量に買うことです。
コストを抑えて家を建てるには、仕事量の確保が最優先なのですね。
サラリーマンの方の場合、毎月定期的に収入がある代わりに時間的な拘束を受けます。言葉を替えると、仕事がずーっと確保されている代わりに決められた賃金ということです。
大工さんの立場ではいかがでしょう?大体が個人経営の方だったりしますので、年間に何棟か注文住宅を受注できれば生活が出来るのかもしれませんが、そううまくはいきません。
仕事が確保されていれば、人件費を下げることができます。
安くても仕事があるということは大工さんにとっては安心です。
『単価が高い仕事が年に3回入ってくるかもしれない生活』と
『少し給料は安くても、毎日仕事がある生活』
どちらが安心と思いますか?
その大工さん等の品質は?
これは私が小屋裏や床下まで住宅の中を隅々まで診断をしてきた中での感想ですが、良い職人もそうでない職人もたくさんの職人さんが入り混じっています。
中には注文住宅を扱えるレベルの大工さんがいたり、そうでない方がいたり様々です。良い物件は様々なところに気遣いがされています。
『 新築建売住宅(分譲住宅)の安さの秘訣は見えないところの手を抜くこと!』という時代ではありません。このままでは価格だけではなく、その品質すら注文住宅(ハウスメーカー)が負ける日が来るのではないかと思うほどです。
でも、中にはそうでない建物があったりします。やはり十分な管理がされておらず、中途半端なまま。そういう物件もそれなりにあります。
そんな時にはどうしたら?
そんな時には弊社のような住宅診断事務所の出番です。
お引渡し前の内覧会等のタイミングで、お客様がわからないところまで指摘をします。
もしかしたら、売主さんに失礼になってしまうのでは?とか、仲介業者さんとの関係を崩したくないから…とか、住宅診断(ホームインスペクション)の実施を悩んでいる方もいるかもしれません。
『指摘』とはキツイ言葉と思われがちですが、これは住宅に関わるみんなが幸せになる為に必要だと思います。
住宅業者さんも悪い物を建てようなんて思っていませんし、第三者的な視点を入れることでさらに成長が出来ます。
仲介業者さんもきっとお客様に喜んでいただきたいと一生懸命です。
何事も問題なく、嬉しそうにお住まいになってくれたらどんなに幸せな気持ちでしょう。
『気になっているけど言いにくいこと』は弊社がお伝えします。
粗悪なものを適当に引き渡そうなんて誰も思っていません。
でも管理不足や建築業界の激務でそうなってしまうことが少なからずあるのが現実です。
お客様には住宅の購入というイベントをがっかりとしたものにしてほしくありません。分譲業者さまや仲介業者さまとの関係を大切にして欲しいと心から思っています。
長いお付き合いを始めるにあたってのサポートをするのが弊社の役目です。
わからないことはお気軽に。
もしそれでもわからないことがあればお気軽にお問い合わせ下さい。
もしかしたらお役に立てるかもしれません(^^)
ホームインスペクション・住宅診断専門事務所 アフリスペック一級建築士事務所でした!
それでは!