【保存版】住宅の不具合はなぜ起こるのか?
住宅の不具合はなぜ起こるのか。
こんにちは、住宅診断・ホームインスペクション専門事務所
アフリスペック一級建築士事務所です。
また発生してしまいました。住宅の不具合。
最近は特にそういった建物のご依頼が多いです。
そしてその原因は概ね同じことのような気がします。
今回はなぜ住宅の不具合が起こるのか?について書いていきたいと思います。
間取りや形状のリスク以上に見落とされているものとは
最近はインターネットでも様々な情報が流れています。
『こんな間取りはリスクが高い』
『軒ゼロは危険!』等、本当に様々です。
これらの情報が本当かといえば本当です。
確かに事故の確率が高い物件になります。
しかしその情報だけを信じるのは更に危険です。
実はその情報は不具合の『原因』ではなく『一因』に過ぎないからです。
一体どういうことでしょうか?
住宅における設計とは?
住宅を建てる時には必ず『設計』が必要になります。
その設計には大きく分けて『意匠設計』『構造設計』がありますね。
そしてそれらが出揃って建築確認申請となるわけですが、実はそれ以上に重要な設計があることをご存じでしょうか?
それは『詳細の設計』です。
実はこれがされていない建物が多く、そこで発生する事故が後を絶ちません。
住宅の詳細部分はどうやって納まっているのか
住宅の詳細部分は基本的にどのように納まっているのでしょうか?
それは各建材メーカーが作成している『標準施工要領』等に準ずる施工がされているのです。
しかし、この『準ずる』というものが曲者です。
どうしてでしょうか。
周りの建物を見渡しながら考えてみましょう。
どうでしょう?
全く同じ建物ばかりでしょうか?
違いますよね。
軒の出が深い建物もあれば、短いものもあります。
長方形の建物もあれば、円を描いているものもあります。
瓦屋根もあれば、金属屋根やスレート屋根もあります。
そうです。
全く形状が違う建物にすべて標準施工が当てはまるのでしょうか?
そして建物が複雑な形状だった場合、例えば『屋根の標準施工』と『外壁の標準施工』の取り合いはどうするのか?そこが全くの空白になっており、多くの場合は『職人の経験』に任される部分になります。
はっきり言ってしまえば『設計されていない』ことが多いと言うことです。
本来は設計者が行わなければいけない詳細設計がされておらず、施工者がモヤモヤとしたまま施工してしまう。その間違いに気づかず、数年後には住宅がボロボロになってしまう。こんな建物がものすごく多いです。
これには設計事務所と工務店の力関係が少なからず関係しています。
『雨が漏れないように納めておいて…』という設計者の一声。
信じられないかもしれませんが、本当にそうなのです。
実はおかしな住宅業界。不具合の『原因』とは。
住宅業界は本当に特殊な業界です。
住宅の建築と大きなビルなどの建築は似ているようで中身は大きく異なります。
大きなビルや公共建築物等の場合には、建設会社(ゼネコン)が受注し、それらの細かい納まりを調整した上で施工します。様々な建材があるなか、それらの製品特性を理解しつつ、他部材との取り合いをきちんと検証した上で施工されるわけです。もちろん標準施工要領というのは各メーカーにありますが、それらを重ね合わせて検証する作業を行っています。
ビスの種類やその間隔まですべて。
構造部材ではない非構造部材についても設計がされています。
これが住宅業界ではほとんどされていないのです。
各部材の取り合いは様々なリスクが最も高い部分です。
それが設計されていないということです。
冒頭に話した不具合の『原因』がこれ。
軒ゼロであろうが、複雑な形状であろうが、その設計が適切に行われ、適切な管理が行われれば不具合を防ぐことは可能です。
形状の自由度を奪ってしまっては、せっかくのデザインがもったいないですよね。
そして責任のなすりつけ合い
それらが原因で発生してしまった不具合。
それらに対する責任のなすりつけ合いが始まります。
新築住宅の場合は10年間の構造・雨漏りの保証が義務づけられています。
しかしそれで安心なのでしょうか?
設計者は施工者へ責任を問い、施工者は設計者にそんな図面は無いといい。
保証会社は原因を立証せよといい、施工会社は原因がわからず適当な補修を行う。
検査済証を発行した検査機関は法適合についてのみの確認と割り切られる。
大きなお金を払って建てた建物が紛争の種になり、建築紛争審査会へ相談してみれば、建築業界特有の横のつながりで仲間の業者に強く言えない。
これらは全て本当なのです。
何のための保証なのか、何のための設計なのか、何のための紛争処理機関なのか。
保証の仕組みに頼らずに、本当に信頼できる工務店等や住宅メーカーに頼る時代になってきているのかもしれません。
※以下の記事も是非お読みください。
いかがでしたでしょうか
これらはすべての工務店やハウスメーカーに当てはまるものではありません。
もちろんきちんと設計している工務店等も多くいます。
誠実な工務店に出会うのが難しい。
それが本当の『原因』なのかもしれませんね。
住宅診断・ホームインスペクション専門事務所
アフリスペック一級建築士事務所でした!
それではまた!
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