私たちホームインスペクターに寄せられる新築・リフォーム工事中の不満
ホームインスペクションを行っていると、時々新築やリフォーム工事中の施主様から施工管理に関する相談を受けることがあります。
基礎コンクリートに著しいひび割れやジャンカ(「豆板」または「す」とも呼ばれるコンクリートの打設不良の事例のひとつ)がある、断熱材が隙間だらけ、防水シートが破れている、釘やビスが浮いている、雑な施工が多い・・・などです。
先日も「工事中に構造躯体や床の合板下地が雨でびしょ濡れになったが大丈夫なのか?」という相談がありました。
ホームインスペクター(住宅診断士)は住宅の劣化状況や欠陥の有無を主に目視でチェックし、メンテナンスが必要な箇所やその時期、およびその費用などを「第三者の中立的な立場」からアドバイスする専門家です。
しかし以前は住宅の施工管理(施工監理)を行っていた経験がある人が多いので、この様な相談にも親身になって対応することができます。
そこで本記事では、「新築・リフォームの工事中に不満や不安を感じた場合にはどのような対応をすべきなのか」について紹介します。
工事中に施工に関する不満を感じたら、まずは施工会社に問い合わせてみる
施工段階で不満に感じたことは完成後の品質にも直結することが非常に多いといえます。
しかし、つい職人(大工さん)に遠慮してしまう、伝えても予算の関係で仕方がないといわれそう、相手は建築のプロなので上手く丸め込まれてしまいそう・・・などといった理由から、住宅会社(職人)との関係が悪化してしまうことを恐れて不満を伝えることに消極的になってしまうケースがあると思います。
私も過去に30年程住宅会社に勤務していて現場で注文住宅や賃貸マンションなどの施工管理を行っていた時期がありますが、工事中に施工に関しての指摘を受けることが多いお客様とそうではないお客様が極端に存在していました。
しかし工事中に指摘の多いお客様ほど完成後の満足度が低かったかというとそうでもなく、完成時には非常に喜んでいただけた方が多かったように思います。
むしろ施工時には何の指摘も受けなかったお客様の方が不満を溜め込んでいた可能性があり、完成時の満足度が低いことがありました。
これは引き渡し後にお客様から記入してもらうアンケートの結果からわかったことです。
すなわち満足度の高い住宅を手に入れたいと思うのであれば、工事中に少しでも不満や疑問を感じたらできるだけ早く相手に伝えることが大切です。
(伝えるのが遅くなるほど対応するのが困難になってしまいます)
お客様から不満を伝えられることは住宅会社にとって決して喜ばしいことではありませんが、不満を抱え込んだ結果、最終的な満足度が低くなってしまってはお互いにとって決して良いことではありません。
自分が信頼して選んだ会社であれば尚更のことで、最後まで信頼することが大切です。
それでも工事中の不満や不安が解消できないときには・・・?
工事が進んでいく様子を見て不満や不安が募り、工事を請け負っている住宅会社に伝えても不安がいっこうに解消しない場合には、工事の途中から第三者の専門家(ホームインスペクター等)に検査を依頼する方法があります。
住宅の検査は工事着工後に依頼することも可能です。
(ただしホームインスペクションを行っている会社によっては、工事中の検査に対応していない場合があります)
ただし工事が進んで目視できなくなってしまった部分については検査で確認することはできません。(すでに出来上がった壁を解体して壁の内部を確認することなどは原則としてできません)
また第三者の専門家が建築中の現場に立ち入って検査を行うためには、事前に建築会社の承諾を得ておく必要があります。
工事を請け負っている建築会社には現場の安全管理や資材管理などの責任があるので、いくら施主の要望であったとしても外部の人間が自由に立ち入りできるものではありません。
この点には十分注意が必要になります。
しかしここでの調整に時間がかかってしまうとどんどん工事が進んでしまって検査が可能な範囲や項目が限られてしまうリスクがあります。
したがってスピーディーに行動することが大切です。
そして工事中の検査を実施するためには、図面等の資料が必要になります。
工事の進捗状況や検査を依頼するタイミング、検査項目によって必要書類が異なるので、事前にどのような資料が必要になるのかをホームインスペクターなどに確認しておきましょう。
排水管の勾配不良(逆勾配、勾配なし等)が数多く見られました
数年後には排水管が詰まってしまう恐れがありますが、完成してしまうと専門家に検査を依頼しても確認することができません
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かめだの部屋 住宅診断士 亀田 融