けっこう言われる。『この壁貫いて大丈夫?』問題

こんにちは、住宅診断・ホームインスペクション専門事務所 アフリスペック一級建築士事務所です。

建物の内覧をしてるときに不動産屋さんやリフォーム屋さん等との話の中でよく出る話題かもしれません。

『部屋を広くしたいんだけど、この壁は抜いても大丈夫?』

すごく安易なやり取りですが、実は多くの建物で行われています。

しかしこのやり取りに潜む危険があります。

今回はその辺りのお話をしてみます。

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新築住宅と中古住宅 考え方の違い

生活スタイルや家族構成の変化や趣味が増えたなどで、今お住まいの家やこれから買おうとしている家で叶えたい夢がいっぱいあると思います。

  • 広い空間で家族がそこに集まって、笑顔の絶えない家にしたい。
  • とにかくデザイン。コンクリートがむき出しでクールな感じがいい。
  • 今どきのおしゃれな古民家カフェみたいなイメージがいいなぁ。
  • 自分だけの空間でをつくって爆音でゲームを楽しみたいんだよね。コックピットみたいな感じがいいな。

こんな風に色んな家族構成や趣味やイメージがあって当たり前、だから住宅建築は面白いし、話題が付きませんよね。

でも、希望の間取りが見つからず、それを叶えるためにはリフォームやリノベーションをしなければならない。
そんなことが多くあります。

そしてどんな家や建物でも共通して押さえていておかなければならないことがあります。

その辺りの一例をお話しします。

新築と中古、どんなふうに考える?

さて、あなたは家を買うときに耐震性を気にしますか?

多分、気にするでしょう。

そしてその耐震性。
建物が築30年経っていたとしたらどうでしょう?

『新築時、最先端の工法で建てて100年持つ家って言われたから大丈夫!』でしょうか?

全くダメではないと思いますが、ここで考え方を誤ると大変なことになりますので、注意してください。

『新築住宅の構造』と『中古住宅の構造』は分けて考えるべきと思います。

新築当時の性能の差で中古住宅の購入を考える方もいらっしゃると思います。それにプラスして時間の経過による劣化事象を考えておきましょう。

よくある会話『この壁、構造壁じゃないから取って大丈夫ですよ!』

自分の夢をかなえたい。

しかしそれをするためにはこの壁がちょっと邪魔かも…、そこでリフォーム屋さんに聞いてみました。

図面を見て『この壁、構造じゃないから取って大丈夫ですよ!』

『そうなのね、ホントだ、筋交いも入っていないしここは大丈夫なんですね!』

果たして良いのでしょうか…。

先ほどの話を思い出して下さい。

『新築住宅の構造』と『中古住宅の構造』は分けて考えるべき。

その理由を簡単な動画にすると、こんなこともあり得るからです。

どうしてこうなってしまうのでしょうか。

構造じゃないはずなのに、外したら建物が歪むって、どういうこと!?

それは新築時は想定外の経年劣化やシロアリ被害等は想定されていない部分があるからです。

もちろん設計当初には構造としての役割を果たしていない壁だったかもしれません。

しかし、年数が経過しメンテナンスを怠っていると、雨漏りからのシロアリ被害、構造の歪み、床の傾き、梁のたわみ等が発生し、想定していない箇所に力が掛かっていることもあり得ます。

その時に新築時には構造ではないとされていた柱や壁が 結果的に構造を成していた からこうなります。

これが『新築住宅の構造』と『中古住宅の構造』を分けて考えるべき理由です。

法的な数値チェックだけでは危険

  • ここのビスは150㎜間隔って決まっているからそうしなければいけない ⇒ 欠陥住宅だ!
  • 防水の立ち上がりが足りない ⇒ 欠陥住宅だ!
  • 傾きが6/1000以上ある ⇒ 欠陥住宅だ!

もちろん基準は大切です。

でも、それ以上に建物全体的な状態(現状とこれから)を想定したインスペクションをお勧めします。

先ほど説明したようなことは、時間軸の感覚が無いと想定ができないのです。

法律をクリアしたから絶対大丈夫とは言い切れません。建物に絶対大丈夫はあり得ません。

その辺りのリスクをどう回避するか。

新築時からのメンテナンス周期や劣化状況でどのようなことが起こりえるのか。

その辺りを考えてのホームインスペクション・リフォーム計画をお勧めします。

これから建物をご購入の方・ご売却の方・買取再販業者様へ

新築住宅を買う予定の方

その建物の耐震性を維持できるかどうかは、メンテナンス意識に掛かっています。
適切なメンテナンスの計画を購入時から想定しておくと良いでしょう。
マンションには修繕費積立金がありますが、戸建てにもその感覚は必要です。

中古住宅を買う予定の方

現状の耐震性や劣化事象、構造を理解しない状態でのリフォームは危険な場合があります。
まずは現状を把握し優先順位を考えたリフォームをお勧めします。

買取再販等、大規模なリフォームを考えている方

リフォームをして売却を考えている方、現状の劣化状態を踏まえたうえでの施工計画(プラン、施工順序)が必要です。
素敵な大空間等を実現するためには新築時の図面にとらわれず、現時点で何が起こっていてどういう傾向があるのか。
また、リフォーム後には点検の出来る状態を作っておくことをお勧めします。

新築住宅も中古住宅も現状を確認し、時間的な変化・劣化を考慮した計画が大事です。

我々も歳を取るように、建物も歳を取ります。

いたわってあげましょうね。

住宅診断・ホームインスペクション専門事務所 アフリスペック一級建築士事務所でした。

それではまた!

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