中古住宅をホームインスペクション(住宅診断)する方法【屋根編】

こんにちは!アフリスペック一級建築士事務所の関谷です(^^)/

前回に引き続き自宅のホームインスペクションの様子をお伝えしていきます!

私自身ホームインスペクションの仕事をしていますが6年前に自宅をリフォームして住んでいます!現在築29年の1階RC、2、3階木造の戸建住宅です。

そろそろメンテナンスが必要な年数だと思いましたので自宅をホームインスペクションしてみました!数回に分けてホームインスペクターの仕事の紹介や結果報告などをお伝えしていきます(^^)第3回目は【屋根・外壁編】です!

不具合の事例

コーキングの劣化、破断

この事例は外壁のコーキングの劣化、破断の事例です。

コーキングの打ち替え時期はおおよそ10年程度と言われています。この家は築29年なのでかなり過ぎていますね。コーキングが固まり外壁との間に隙間ができてしまっています。

そもそもコーキングは打ち替えるものなので劣化というよりは役目を終えたとでもいいましょうか。雨水はコーキングのみで防いでいるわけではありません。

ここで雨水を防ぐ仕組みを整理してみましょう!

  • 一次防水

外壁とコーキングにより一次防水を行います。外壁メーカーに関しても「雨水は入るものだ」と言っているくらいです。また外壁の内側にある防水透湿シートを保護する役割もあります。

  • 二次防水

防水透湿シートと気密テープにより二次防水を行います。外壁の隙間から入った雨水を防ぐ役割があります。防水透湿シートは紫外線に弱いので外壁材で保護されることにより本来の性能を発揮することができます。

このようにして雨水を防ぐ仕組みになっています。

防水透湿シートの施工不良

写真に見えるのが防水透湿シートです。

赤の点線のラインが外壁と軒天のラインなのでちょうど同じ位置で切られてしまっています。本来なら軒天よりも上まで伸ばさなければいけません。

いくら軒天があるからといって安心はできません。きちんと軒天より上まで伸ばしていると安心できます。

矢印の画像は完全に防水透湿シートが剥がれてしまっています。上記でも書きましたが外壁はあくまでも一次防水です。防水透湿シートできちんと止水する必要があります。

しかしこの状態では補修しようにもうまくいかないので気密テープで処理をして経過観察するしかないでしょう。

屋根と窓の間の立ち上げ不足

屋根と窓の間(立ち上げ寸法)が不足しています。

理想をいえば防水層の立ち上がりが12㎝以上あると雨水の防止上安心できるのですがこの事例では6㎝程度と思われます。

これでは少な過ぎます。目視可能な範囲では雨漏りの形跡は見られませんでしたが窓周りに苔が生えていることも考えると降雨時に跳ね返りがあることが分かります。

現場補修などができないので注意深く経過観察をするしかないと思います。

また苔などが生えていると雨の切れも悪くなってしまうのできちんと除去することをおすすめします。

通気胴縁なし

通気胴縁がありませんでした。

通気胴縁とは外壁材と柱が密着しないように設けられる通気部材のことです。

数十年前には通気工法という考えがなかったので通気胴縁が設けられていない家もありましたが現在では通気工法は主流になっています。

外壁の下端から外気が入り軒天付近で解放されるようになっています。

この事例では通気が取られていないので結露が発生する可能性が高くなります。

現状、補修工事などができないので経過観察となります。今後外壁の張り替えなどを検討されるときは通気胴縁の追加工事も併せて行うことをお勧めします。

サッシ脇コーキングなし

こちらは車庫のサッシ脇にコーキングが施工されていなかった事例です。

内側も車庫ですのでコーキングをしなかったようですが雨水の侵入の可能性が高くなるので内側の仕上げを問わずコーキングをすることをお勧めします。

太陽光パネルのビス取付不良

こちらは太陽光パネルの設置ビスが効いていない事例です。

この建物は後から太陽光パネルを設置しました。

ビスがこれほど長いということはきちんと垂木に効かせなければいけないと思います。

どのようにして設置場所の基準をつくったのかは不明ですがこれでは本来の耐力が出ないと思われます。またこの家は落雪屋根となっていて落雪時に大きな力が加わります。

このため改めてメーカーに確認することが必要だと思われます。

まとめ

いかがでしたでしょうか!

屋根・外壁については雨水の侵入を防止する部分として非常に重要な部分になります。

コーキングや外壁などは定期的にメンテナンスが必要な材料ですので大きな不具合が起きる前に対処することをお勧めします。

雨漏れをしてしまって柱や筋交いなどの構造部材を腐食してしまってからでは取り返しがつかなくなってしまいます。

人間と一緒で定期的な検診を行い早期発見が重要になりますね!

以上【屋根・外壁編】でした(^^)/